B的日常
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ドイツ、デンマーク、フランス(一瞬)と、流浪の生活を約10年。昨年秋にポーランドに流れ着く。音楽、美術、風景、食べ物など、美しいものや変わったものを追いかけて味わうのが好き。
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美しいものや変わったもの、美味しいものを追いかけるのが好きです。日々の生活で接した、そうしたものへの感想を綴っていきます。過去の記事であってもコメントは大歓迎です。メールはこちらにどうぞ。
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所謂「天使の声」が歌う死神と魔王
11月8日(東京)、12日(名古屋)に行われるフィリップ・ジャルスキーの日本公演のプログラム詳細が、招聘元のWebサイトで発表されていた。実は今回の里帰りは彼の来日公演にぶつけて日程を組んだ。日本のファン(といってもフランスでの異常人気に比べると人数的には少ないのだが)が待ち望んでいた初来日の現場に、どうしても居合わせたかったというファン心理である。

プログラムは、当初の発表では「ヘンデルおよびヴィヴァルディのアリアとフランス歌曲」ということだったが、蓋をあけてみるとヴィヴァルディは1曲も入っておらず、ヘンデルのアリアが3曲あるほかはレイナルド・アーンをはじめとするフランス歌曲、そして意外なことにシューベルトのリートとモーツアルトのドイツ語歌曲を歌うという。今回はピアノ伴奏なので、定番のバロック・アリアでなく歌曲中心のプログラムを組んだのは賢い選択だと思う。それにしても、彼がドイツ・リートをコンサートで歌うのは初めてなのではないか?先日TV放映されたドイツのECHOクラシック賞授賞式で、思いがけずドイツ語でインタビューに答えていた彼を見て「?」と思ったのだが、こういうことだったのかと納得する。

で、当日歌うシューベルトの作品は「シルヴィアに(An Sylvia)」、「死と乙女(Der Tod und das Mädchen)」、「魔王(Erlkönig)」の3曲、モーツアルトは1曲で「ラウラに寄せる夕べの思い(Abendempfindung an Laura)」である。「シルヴィアに」や「夕べの思い」あたりは彼の今までの叙情的なレパートリーから違和感を感じないのだが(とはいえ彼のドイツ語が音楽に乗ったとき、どのように響くのかは実際に聴いてみないと分からない)、「魔王」の一人4役(父親、子供、魔王、語り手)をどう歌うのか、「死と乙女」の死神の低音がどうなるのか、ものすごく興味をかきたてられる。

ジャルスキーの声はよく「天使」に例えられる(私はこの紋切り型の表現は好きではない)が、天使の声だけでは「悪」や「苦しみ」、「死」といったネガティブなものを表現することはできない。よって音楽の幅が狭まる。それをアーティスト本人が自覚しているからこそ、これらの曲をプログラムに入れたのだろうと想像する。

ともあれ、まさかプログラムにシューベルトやモーツアルトが登場するとは思っていなかったので、急いで楽譜を集めたり、歌詞の対訳を探したり、音源を拾ってきたりという作業をして「予習用資料」を作った。こういうことには情熱を傾けちゃうのだ。それに言語と音楽が不可分に結びついている歌曲では、事前に歌詞対訳を読んでおくといないとでは、味わいが全く違う。

「予習」の番外編として、スイスのコメディアン、Marco Rimaが演じるスタンダップ・コメディ版の「魔王」をひとつ。爆笑。


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by bonnjour | 2008-11-03 02:55 | 聴く&観る