B的日常
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ドイツ、デンマーク、フランス(一瞬)と、流浪の生活を約10年。昨年秋にポーランドに流れ着く。音楽、美術、風景、食べ物など、美しいものや変わったものを追いかけて味わうのが好き。
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美しいものや変わったもの、美味しいものを追いかけるのが好きです。日々の生活で接した、そうしたものへの感想を綴っていきます。過去の記事であってもコメントは大歓迎です。メールはこちらにどうぞ。
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フィリップ・ジャルスキー リサイタル@東京
カウンターテナーのフィリップ・ジャルスキーが初来日した。昨日、東京オペラシティ コンサートホールで開かれた彼のリサイタルに行った。

会場のコンサートホールは1階席から3階席まで入れると計1632席と、かなり大きめ。彼のようなデリケートな声の歌手を聴くにはいかんせん会場が広すぎる。1階席(974席)だけの設定で、お客さんの入りは6割強~7割弱といった感じだったのでは。コンサートの採算性の問題もあるだろうが、もう少し小規模なホール(例えば408席のトッパンホールなど)でやったほうが、彼の持ち味が生かせ、なおかつ会場が満員になってよかったのではないかと思う。

「生ジャルスキー」がとうとう聴けるという日本のファン(たぶん、バロック音楽や古楽、そしてカウンターテナーの愛好者が中心)の期待が高まるなか、ジャルスキー氏とピアノのジェローム・デュクロ氏がステージに登場。プログラムの最初は、彼が名を上げたバロック作品で、ヘンデルのオペラ・アリアを3曲。本当はオーケストラをバックに歌ってほしい曲だが、今回のプログラムは「バロック&ドイツ・リート&フランス歌曲」という、サンプラー盤みたいな編成(私は「幕の内弁当」と命名)なので、仕方ない。

ついで、モーツアルトの「夕べの思い」とシューベルトの有名歌曲を3曲(「シルヴィアに」「死と乙女」「魔王」)。モーツアルトは叙情的な彼の持ち味がよく出ていたと思うが、「シルヴィアに」あたりでは、かなり喉の調子が悪そうで出しにくい音があり、もうこちらの胸がドキドキ。なんとか歌いきってほしいと祈るような気持ちになってしまった。難曲の「魔王」は、チャレンジ精神を評価。それにしても、9月にフランスの古城で彼のコンサートを聴いたときの晴れやかな美声はどこにいったのかと思うようなコンディションの悪さで、これはもう、フランスから日本への長旅がたたっているに違いない。乾燥した機内の空気に12時間もさらされるのは、一般人の私でさえ辛いのだから、とびきりデリケートな楽器を喉に抱えている歌手に悪影響が出ないはずはない。

休憩をはさんで後半は、彼が近頃力を入れているフランス歌曲を歌った。フランス語を母語とする彼にとっては、本領発揮といったところ。ここでも調子はパーフェクトではなかったが、彼が「自分の声に最も合っている」と語るレイナルド・アーンの作品など、鳥肌が立つような美しさだった。そしてアンコールに応えてフランス歌曲を3曲。アンコール1曲目には私の好きな曲、「Havanaise 」(ポーリーヌ・ヴィアルド作)が飛び出して、とても嬉しかった。

ファンへの気さくな対応で評判の良い彼だが、この日もコンサート終了後にサイン会を開き、長蛇の列の一人一人とかなり長い時間をかけて話をしてくれたうえ、殺到するツーショット写真の要請にも笑顔で応えていた。「長蛇」の中にはもちろん私も(笑)。持参したアーンの楽譜にサインをしてもらったところ、嬉しそうに「おお、君も歌手なの?」と聞かれてしまい、「いやいや、私はhorrible singerです」と赤面。この楽譜(写真下)にはピアノのデュクロ氏のサインももらったので、宝物にします。

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【演奏会データ】

2008年11月8日 東京オペラシティ コンサートホールにて

演奏: フィリップ・ジャルスキー(カウンターテナー)
     ジェローム・デュクロ(ピアノ)

第1部                          
■G.F.ヘンデル
歌劇《エジプトのジュリオ・チェーザレ》より 
・チェーザレのアリア〈エジプトの地は今こそ Presti Omai l’egizia terra〉

歌劇《リナルド》より 
・リナルドのアリア〈愛しい許婚よ Cara sposa〉
・リナルドのアリア〈風よ、旋風よ Venti, turbini〉

■W.A.モーツァルト
・(ジェローム・デュクロによる)ピアノソナタ 第12番 K332 より 第2楽章 
・歌曲〈ラウラに寄せる夕べの思い Abendempfindung an Laura〉K523 

■F.シューベルト 
・歌曲〈シルヴィアに An Sylvia〉
・歌曲〈死と乙女 Der Tod und das Mädchen〉D531 
・歌曲〈魔王 Erlkönig〉D328 

第2部
■C.シャミナード: 歌曲〈ミニヨンヌ Mignonne〉
■J.マスネ: 歌曲〈スペインの夜 Nuit d’espagne〉
■E.ショーソン: 歌曲〈はちすずめ Le colibri〉
■C.フランク: 歌曲〈夜想曲 Nocturne〉
■C.シャミナード: 歌曲〈ソンブレロ Sombrero〉
■C.フランク: (ジェローム・デュクロによる)オルガン曲〈前奏曲 Prélude〉 ピアノ独奏用への編曲版

■R.アーン
・歌曲〈クロリスに À Chloris〉 
・歌曲〈彼女の館のとりこになったとき Quand je fus pris au pavillon〉
・歌曲〈捧げもの Offrande〉
・歌曲〈はなやかな宴 Fêtes galantes〉 
・歌曲〈恍惚のとき L’heure exquise〉 

■アンコール
・ "Havanaise" by Pauline Viardot
・ "Sur une tombe" by Guillaume Lekeu
・ "Les papillons" by Ernest Chausson
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by bonnjour | 2008-11-09 10:51 | 聴く&観る