B的日常
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ドイツ、デンマーク、フランス(一瞬)と、流浪の生活を約10年。昨年秋にポーランドに流れ着く。音楽、美術、風景、食べ物など、美しいものや変わったものを追いかけて味わうのが好き。
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美しいものや変わったもの、美味しいものを追いかけるのが好きです。日々の生活で接した、そうしたものへの感想を綴っていきます。過去の記事であってもコメントは大歓迎です。メールはこちらにどうぞ。
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寒い日はロシア音楽 ボリス・ゴドゥノフ
今日は珍しく晴天。なので、冷え込みが一段と厳しい。寒い日は寒い国の音楽が似合う、ということで長らく遠ざかっていたムソルグスキーのオペラ「ボリス・ゴドゥノフ」を聴く。前によく聴いていたライモンディ盤は今、手元にないのでナクソス・ミュージック・ライブラリー(NML)を活用する。ボリス役として極め付けといわれた(名前が同じだからというわけではないだろうが)ブルガリア出身のバス歌手、ボリス・クリストフがタイトルロールを歌った1952年の録音。こういう時、NMLって本当に便利だ。
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ムソルグスキー:歌劇「ボリス・ゴドゥノフ」(リムスキー=コルサコフ第2改訂版=1908年版)
演奏:
Boris Christoff (バス)
Andrzej Bielecki (テノール)
Kim Borg (バス)
Nicolai Gedda (テノール)
Eugenia Zareska (メゾ・ソプラノ)
Russian Chorus of Paris
フランス国立放送管弦楽団
Issay Dobrowen (指揮)

お伴はロシア式紅茶(実は小皿に入れたイチゴジャムをなめながら、ティーバッグの紅茶を飲むだけ)で本場の気分を盛り上げる。

ロシアの土の匂いがしてきそうな力強い音楽。権力を手にするため先帝の皇子を暗殺した(といわれる)実在の人物、ボリス・ゴドゥノフの良心の呵責と破滅を描いたプーシキンの原作を、作曲者自らが台本を書いて歌劇にした重厚な作品だ。4幕物で登場人物も多く、物語が入り組んでいるのだが、無理に筋を全部理解しようと気負わず(そもそもロシア語は分からないし)、陰影に富んだロシア語の響きと荒削りな音楽に耳を傾けるだけでも心はすでにロシアの大地に飛んでいく。

このディスク、なんといっても主役のボリス・クリストフの深みがあり、しかも朗々とした美しいバスの声と、それを縦横自在に使った心理表現が素晴らしい。幼い皇子を暗殺した良心の呵責で錯乱するところなんか、ゾクゾクくる。そして有名なボリスの死のシーンも感動的だ。錯乱した彼は、後継者たる息子のフョードル(少年という設定なので、メゾソプラノの役)に国を託し、死んでいくのだ。しかし暗殺されたはずの皇子が実は生きていたという触れ込みの偽者の皇子が反乱を起こし、皇位に就こうとする。最後に狂言回しの「聖なる愚者」が、巡り来るロシアの暗黒時代を予言して幕が下りる。

このディスクにはボーナス・トラックとして、フョードル・シャリアピン(1873- 1938)の歌ったボリスのいくつかのシーンが収録されているのも嬉しい。シャリアピンって、ステーキの名前の元になった昔の大歌手、くらいの認識しかなかったが、こんな録音が残っていたとは!

余談:カウンターテナーのフィリップ・ジャルスキーに、通常メゾが歌うフョードル役のオファーが来たことがあるそうだが、実現はしていない。カウンターテナーの層が厚くなった現在では、フョードル役にカウンターテナーを起用するプロダクションも出てきている(たとえばブライアン・アサワを起用した、2004年のバルセロナ・リセウ劇場の公演がDVDになっている)。
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by bonnjour | 2008-12-13 00:41 | 聴く&観る