B的日常
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ドイツ、デンマーク、フランス(一瞬)と、流浪の生活を約10年。昨年秋にポーランドに流れ着く。音楽、美術、風景、食べ物など、美しいものや変わったものを追いかけて味わうのが好き。
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美しいものや変わったもの、美味しいものを追いかけるのが好きです。日々の生活で接した、そうしたものへの感想を綴っていきます。過去の記事であってもコメントは大歓迎です。メールはこちらにどうぞ。
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ギョーム・ルクーのヴァイオリン・ソナタ ト長調


音楽というと、ついついルネサンスやバロックなど古い方に足が向いてしまい、近代音楽はあまり聴かないのだが、「世にも美しい」と形容したくなる近代のヴァイオリン・ソナタに出会った。ベルギー生まれの作曲家、ギョーム・ルクー(Guillaume Lekeu, 1870-1894)の作品だ。上記のYouTubeで全曲が聴ける(ただし演奏時間35分ほどの曲を、アップロードの制約から4本に分割してあるのだが、曲の途中でいきなり切れてしまうのが残念。上記はPart1だが、Part2Part3Part4と続いている)。

生没年から分かるように、ルクーはわずか24歳で夭折している(ベルギーの瀧廉太郎って感じ?)。その彼が残した唯一のヴァイオリン・ソナタがこの作品で、大ヴァイオリニスト、ウジェーヌ・イザイの委嘱で書かれた。初演もイザイによる。若死にして作品があまり残っていないこともあり、ルクーの作品で今でもよく演奏されるのはこの曲くらいらしい。3楽章構成(第1楽章 Tres modere-Vif et passionne、第2楽章 Tres lent 、第3楽章 Tres anime)で、甘く切ない旋律が極上の美の世界に誘ってくれる。ルクーはセザール・フランクに師事していたので、この作品も師匠の影響が強いと解説には書いてあったが、ピアノ曲以外のフランス近代音楽は食わず嫌いでフランクの作品も殆ど聴いたことがない私には、判別不能。

パブリックドメインの無料楽譜はこちらで入手が可能。

ところで、食わず嫌いのフランス近代音楽、およびルクーという作曲家に目を向けるキッカケを作ってくれたのは、先月日本でリサイタルを開いたフィリップ・ジャルスキー。このリサイタルでフランス歌曲を取り上げた彼が、アンコールで披露した3曲の中に、ルクーの作品「Sur une tombe (墓前にて)」があった。作曲家自身が書いた詩に基づく連作「3 Poèmes」(1892)の一つで、まだ新しい供花の香る墓地で亡くなった恋人を思う、というメランコリックで美しい曲だ(といってもアンコールを聴いたその場で詩の内容が理解できるはずもなく、後で調べて、やっと分かった次第)。こちらの曲も、このサイトで無料楽譜の入手が可能だ。

それにしても、若死にした恋人を思う歌曲を書いた本人が、2年後には20代の若さで亡くなってしまうのだから皮肉なものだ。彼の命を奪ったのは、腸チフスだったそうだ。衛生状態や医学水準が今より劣悪だった当時、感染症で奪われた命の多さに驚く。
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by bonnjour | 2008-12-18 10:29 | 聴く&観る