B的日常
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ドイツ、デンマーク、フランス(一瞬)と、流浪の生活を約10年。昨年秋にポーランドに流れ着く。音楽、美術、風景、食べ物など、美しいものや変わったものを追いかけて味わうのが好き。
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美しいものや変わったもの、美味しいものを追いかけるのが好きです。日々の生活で接した、そうしたものへの感想を綴っていきます。過去の記事であってもコメントは大歓迎です。メールはこちらにどうぞ。
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マーラーの「大地の歌」 -あれは何だったんだろうねェ?
前回に引き続きマーラーの声楽曲に関する話題。80年代半ばのバブル経済華やかなりし頃に、サントリーがマーラーの「大地の歌」(第3楽章「青春について」)を使ったテレビCMを制作した。下記のYouTubeクリップの0:58~1:58が該当のCMだ。



【ナレーション】
このところ、マーラーの曲を聞くことが多い。時代がどんどん乾いていくからだろうか。東洋人にも分かりやすい音楽だなあと思う。「やがて私の時代が来る」と予言し、人間を追い続けたマーラーに、20世紀がうなずき始めたようだ。

ウイスキーに重なる音楽。サントリー ローヤル。


これがビールのCMで、マーラーの生地であるボヘミア産のホップを使ったのがセールスポイントだったりしたらまだわかるのだが、日本産ウイスキーとマーラーは何の関係もないわけで、彼の音楽を起用した理由はよくわからない。ともあれ美しい水墨画のアニメーションと、テノールが躍動感たっぷりに歌う東洋的な音楽の組み合わせは印象的で、これを機に、「にわか」マーラー・ブームが起こったと記憶している。私ものせられて「大地の歌」のディスクを買ってしまったクチだ。

今となっては、あのにわかブームは何だったんだろうと思うが、テレビCMで彼の音楽が多くの人の耳をかすめ、中には興味をひかれてCMで使われた曲のディスクを買い(私がいい例)、それが契機でマーラーの別の作品も聴くようになった人も多いだろうから、あのCMが彼の音楽を普及させた貢献は大きいだろう。

ところで「大地の歌」は李白や王維などの唐詩に基づいていると聞いたので、サントリーのCMが流れた当時、「青春について(Von der Jugend)」の原作を探そうと図書館で本を引っくり返したが、分からなかった。それもそのはずで、マーラーが歌詞として採用したのは、中国語を解さないドイツの詩人ハンス・ベートゲが、別の作家によって翻訳されたドイツ語およびフランス語のテキストに基づいて自由に創作したドイツ語の詩だった。

一説によると「青春について」の原作は、李白の「宴陶家亭子(陶家の亭子に宴す)」という作品だという。

宴陶家亭子

曲巷幽人宅 
高門大士家 
池開照膽鏡 
林吐破顔花
緑水蔵春日 
青軒秘晩霞 
若聞弦管妙 
金谷不能誇

これに対してドイツ語の歌詞の冒頭は

Mitten in dem kleinen Teiche
Steht ein Pavillon aus grünem
Und aus weißem Porzellan.
(小さな池の中ほどに、緑と白の陶器でできたあずまやが建っている)

であるが、「陶器でできたあずまや」という、東洋人にとってはシュールなイメージ(陶器で家を建てるなんて、そんな無茶な!)は、「宴陶家亭子」というタイトルにある「陶さんの家」の誤訳である、というのが、「宴陶家亭子」原作説のポイントである。

うーん、これが原作なら、歌詞のほとんどすべてが自由な「創作」だといえるだろう。
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by bonnjour | 2009-02-22 03:44 | 聴く&観る