B的日常
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ドイツ、デンマーク、フランス(一瞬)と、流浪の生活を約10年。昨年秋にポーランドに流れ着く。音楽、美術、風景、食べ物など、美しいものや変わったものを追いかけて味わうのが好き。
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美しいものや変わったもの、美味しいものを追いかけるのが好きです。日々の生活で接した、そうしたものへの感想を綴っていきます。過去の記事であってもコメントは大歓迎です。メールはこちらにどうぞ。
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偶然、この声に遭遇した


フランス語の詩の朗読音声を探していて偶然、この声に遭遇した。ポール・ヴェルレーヌの「Le ciel est, par-dessus le toit...(空は屋根のかなたに)」を朗読している。ヴェルレーヌが同性愛の恋人アルチュール・ランボーに対する傷害事件(ピストルをぶっ放したのだ)で投獄された経験から生まれた作品だ。ベルベットで頬を撫でられているような、囁くような小声が私の声の好みのツボにはまってしまい、同じ音源をインターネットで配信しているサイトからダウンロードした。このサイトLitterature audio.com はフランス語による朗読の音声を無料で配信するポータルで、詩や小説、随筆、哲学、戯曲など色々なジャンルのコンテンツが提供されている。

声の主、オーギュスタン・ブリュノー氏の朗読はこちらのページに集められている。このサイトで色々な朗読者の声を聞いたが、声の質や雰囲気という点ではオーギュスタン青年がピカ一である(私の独断だけど)。何本かの朗読をこのサイトからダウンロードして、iPodで聞いている。

我が相棒もフランス語話者だが、強烈な南仏訛りのせいで、同じ詩を朗読してもらっても、残念ながらこんな風にはならない。南仏訛りは素朴で力強いが、洗練からはほど遠い。下記の訳詞の1行目を例に取れば、「空(すら)は屋ン根のかなだに、かぐも静(すずか)に、かぐも青すぃ」という調子。フランス語の地方訛りの中でも、南仏訛りは日本のズーズー弁みたいな位置付けらしい。

Le ciel est, par-dessus le toit...

    - Paul VERLAINE, Sagesse (1881)

Le ciel est, par-dessus le toit,
Si bleu, si calme !
Un arbre, par-dessus le toit,
Berce sa palme.

La cloche, dans le ciel qu'on voit,
Doucement tinte.
Un oiseau sur l'arbre qu'on voit
Chante sa plainte.

Mon Dieu, mon Dieu, la vie est là,
Simple et tranquille.
Cette paisible rumeur-là
Vient de la ville.

--Qu'as-tu fait, ô toi que voilà
Pleurant sans cesse,
Dis, qu'as-tu fait, toi que voilà,
De ta jeunesse ?


【日本語訳】

  偶 成  ポオル・ヴヱルレエン
(永井荷風 訳著「珊瑚集」 より)

空は屋根のかなたに
  かくも静にかくも青し。
樹は屋根のかなたに
  青き葉をゆする。

打仰ぐ空高く御寺の鐘は
  やはらかに鳴る。
打仰ぐ樹の上に鳥は
  かなしく歌ふ。

あゝ神よ。質朴なる人生は
  かしこなりけり。
かの平和なる物のひゞきは
  街より来る。

君、過ぎし日に何をかなせし。
  君今こゝに唯だ嘆く、
語れや、君、そもわかき折
  なにをかなせし。


ちなみにこの詩が音楽に乗ると、こんな感じ ↓ になる。ビデオ・クリップの1:46~4:30あたりが該当箇所。これはレイナルド・アーンの作曲によるものだが、同じ詩に基づいてガブリエル・フォーレも曲を書いており、フォーレ版のほうがよく演奏されているかもしれない。

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by bonnjour | 2009-03-02 11:39 | 聴く&観る