B的日常
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ドイツ、デンマーク、フランス(一瞬)と、流浪の生活を約10年。昨年秋にポーランドに流れ着く。音楽、美術、風景、食べ物など、美しいものや変わったものを追いかけて味わうのが好き。
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美しいものや変わったもの、美味しいものを追いかけるのが好きです。日々の生活で接した、そうしたものへの感想を綴っていきます。過去の記事であってもコメントは大歓迎です。メールはこちらにどうぞ。
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ミラノは霧の中/機内で見た、ちょっといいイタリア映画
11月というのに妙に暖かいマルセイユからアリタリア便でミラノを経由し、日本に向かう。

マルセイユでは晩秋というのに南仏特有の強い日差しが照りつけていたが、ミラノに降り立つと、そこは暗く沈む霧の中だった。
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須賀敦子が随筆の中で繰り返し語った、秋から冬にかけての「ミラノの霧」の実物を見て、ひとりで勝手に感動する。しかし、ここで生活している人にとっては、車の運転は危険だわ、気持ちは沈みがちになるわで、決して歓迎するべきものではないだろう。

ミラノから成田までの便はかなり空いていて、エコノミー席ではあるが、かなりゆったりと座ることができた。

ところで飲み物のサービスが始まったとき、赤ワインを頼んだところ、「本日はあいにく赤は搭載しておりません」とのことで、白ワインを渡してくれた。赤ワイン大国のイタリアのナショナルキャリアーでそんなこともあるものかと、結構驚いた。まあ、エコノミー席を買っておいて贅沢はいえないのだが。

いつもは飲食物がサービスされるやいなや、赤ワインを「がー」っと飲んで、後はひたすら眠るのが私なりの時差ぼけ解消策だが、今回は調子が狂っていっこうに眠くならない。そこでオンデマンドで見ることができる映画を2本も見てしまった。

1本目は「チャーリーとチョコレート工場」。ちょっと前にボンの映画館にかかっていたものの、ドイツ語吹き替えにつき、見送った1本。機内で見ることができてトクした気分だ。

もう1本は、「Ribelli per caso」(偶然の反乱)というイタリア映画(英語字幕付き)。あまり期待せずに見始めたところ、これがイタリア映画ならではの、人生の悲哀を甘辛く描いた作品で、心に残った。

ストーリーは、人生を諦めているような雰囲気を漂わせた初老の男(主人公)が検査のため、ナポリの公立病院に入院する(イタリアの公立病院は貧乏人の行くところで、高額な私立クリニックに比べて患者への待遇が悪い)。そこは消化器病棟で、同室の患者たちは検査結果が出るのを長々と待たされていることや、主任医師の傲慢さ、病院食のまずさに腹を立て、監視がゆるむ週末に病院内の調理室で好みの食材を使った豪華なディナーを自分たちで作る計画を立てる。厳しい食餌制限を課せられた消化器病棟の患者たちにとって、それは死につながるかもしれない危険行為だが、彼らは病院への復讐の気持ちすら込めて、計画を練り上げる。

ひと波乱あった後に計画は実行され、主人公はパスタ作りの鮮やかな腕を披露する。実は彼は長年、ホテルマンをしていた。問わず語りに彼は、ホテルに勤め始めた10代の頃、お客として現れた世界的映画監督に「俳優になったら成功するだろう」と言われたエピソードを話す。若かった彼はその言葉に狂喜乱舞するが、結局、一歩を踏み出す勇気がなく、周囲に流されるままホテル勤めを続けて初老を迎えた。

さて、ディナーの途中で病院側が感づき調理室に突進、患者たちは立てこもる。警察も出動して大騒ぎとなるが、最後は病院側が患者グループの提示した要求をのんで事態が収拾される。

翌日、主人公は例の傲慢な主任医師から、手術不能の癌に侵されていることを告げられる。動揺する主人公。しかし、彼は医師に向かい、「あなたの指図は受けない。自分の人生をどうするかは、自分で決める」と言って、今度ばかりは自分の人生に正面から向き合おうと決意するのだ。
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by bonnjour | 2005-11-04 21:13 | 旅する