B的日常
bonnjour.exblog.jp

ドイツ、デンマーク、フランス(一瞬)と、流浪の生活を約10年。昨年秋にポーランドに流れ着く。音楽、美術、風景、食べ物など、美しいものや変わったものを追いかけて味わうのが好き。
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31
ブログパーツ
プロフィール
美しいものや変わったもの、美味しいものを追いかけるのが好きです。日々の生活で接した、そうしたものへの感想を綴っていきます。過去の記事であってもコメントは大歓迎です。メールはこちらにどうぞ。
最新のトラックバック
Wheelock's L..
from えいじゅなすの本棚 − 英語..
ミケランジェリ/ショパン..
from クラシック音楽ぶった斬り
フィリップ・ジャルスキー..
from ご~けんのAudio & C..
NAXOS MUSIC ..
from Ceciliaの部屋
カテゴリ
以前の記事
その他のジャンル
寺山修司の「弟」


昨年、SNSのオフ会で知り合ったインディーズ系漫画家のSさんと一緒に、渋谷のイメージフォーラムで上映中の「へんりっく 寺山修司の弟」(監督:石川淳志、製作・配給:ワイズ出版)という映画を見てきた。寺山が率いる演劇実験室・天井桟敷の団員として音響、演出助手、舞台監督、グラフィックデザインなどを手がけ、いくつかの寺山映画では出演者も兼ねた森崎偏陸(もりさき・へんりっく)氏に密着したドキュメンタリーだ。森崎氏(ちなみに「へんりっく」という外国人のような名前は本名だそう)は寺山の死後、一人息子を亡くした寺山の母に乞われ、彼女と養子縁組して戸籍上は寺山修司の弟となった。寺山の弟子であり、スタッフであり、家族でもあるという立場の人だ。今日は上映に先立ち、森崎氏と監督の石川氏、それに白夜書房の末井昭氏のミニ・トークショーも行われた。

c0163963_4544247.jpg

私は寺山修司の一部の歌集と何本かの映画に接しただけで、熱心な読者ではないし、天井桟敷の活動の最盛期にはまだ子供で、実際の舞台を見る機会がなかった。それで、70年代に作られた彼のいくつかの映画で森崎偏陸という「脱ぎっぷりのいい」美少年俳優(当時、彼は20代半ば)が鮮やかな足跡を残していたことを今まで知らなかった。

映画は、寺山の実験的な短編映画「ローラ」(森崎氏はこの映画のスクリーンに、実演で参加する)を引っ提げてパリに渡る彼の姿や、寺山が83年に亡くなった後に一緒に仕事をするようになった荒木経惟(写真)、松村禎三(作曲)、宇野亜喜良(イラストレーション)、浦岡敬一(映画編集)といった、そうそうたる顔ぶれとの仕事シーンに密着する。松村氏、浦岡氏、そしてフランスにおける日本映画紹介の大功労者、弘子ゴヴァース氏など、物故者が登場するのは、この映画が7年の年月を費やして撮影されたからだ。

ナレーションや字幕など、説明するものが一切ないので、寺山修司とその周辺のアングラ文化について、およその知識がないと分かりづらい映画だ。本筋とはあまり関係ないかもしれないが、ゲイである森崎氏が恋人の「山ちゃん」なるスキンヘッドの大男(へんりっくさんは、デ〇専だったのね)とじゃれ合うシーンが、なかなかにいい味を出していた。あんな風に愛する人と一緒に年を取るって、ちょっといいよねと、帰り道にSさんとしみじみ話したことである。
[PR]
by bonnjour | 2009-10-30 03:31 | 聴く&観る