B的日常
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ドイツ、デンマーク、フランス(一瞬)と、流浪の生活を約10年。昨年秋にポーランドに流れ着く。音楽、美術、風景、食べ物など、美しいものや変わったものを追いかけて味わうのが好き。
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美しいものや変わったもの、美味しいものを追いかけるのが好きです。日々の生活で接した、そうしたものへの感想を綴っていきます。過去の記事であってもコメントは大歓迎です。メールはこちらにどうぞ。
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ジャルスキー&ラルペッジャータの来日公演 (サントリーホール)
前日に引き続き、ジャルスキー&ラルペッジャータの来日公演に行った。今日は彼らだけが出演するプログラムで、会場もサントリーホールの小ホール(384席)と適正規模なので安心してホールに向かう。このコンサートは追加公演で、チケットは公演直前に完売という情報だったが、当日券が30枚ほど出た。会場のキャパシティからいうと結構な数で、結果的に当日券は半分以上売れ残っていたようだ。

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【演奏曲目】
ルチッラ・ガレアッツィ:ああ、美しき人生
マウリツィオ・カッツァーティ:チャコーナ
バルバラ・ストロッツィ:「恋するエラクレイト」
ジョヴァンニ・フェリーチェ・サンチェス:プレッソ  ロンデ トランクィッロ
即興演奏:タランテラ・ナポリターナ
クラウディオ・モンテヴェルディ/即興演奏:ああ、私は倒れてしまう
アントニオ・ベルターリ:チャッコーナ
ジローラモ・カプスペルガー:アルペッジャータ
ルチッラ・ガレアッツィ:私の花の夢
即興演奏:タランテラ・イタリアーナ
G.A.パンドルフィ・メアッリ:ラ・ヴィンツィオリーナ
クラウディオ・モンテヴェルディ:苦しみが甘美なものならば
・クラウディオ・モンテヴェルディ:美しい乙女

マルコ・ウッチェリーニ:満足したルチミニア
ルイジ・ポッツィ/即興演奏:カンタータ ソプラ イル パッサカリオ ディアトニカ
クラウディオ・モンテヴェルディ:「安らかにみな忘れ」(歌劇「ポッペアの戴冠」より)
ドメニコ・マリア・メッリ:ディスピエガーテ・グアンチェ・アマンテ
ルチッラ・ガレアッツィ/即興演奏:家が欲しいな
トラディショナル/即興演奏:ロマネスカによる子守唄 (デュエット)

休憩を入れず全プログラムが通して演奏された。ジャルスキーと、イタリア民謡の女性ヴォーカリスト・ガレアッツィによる独唱と、ラルペッジャータによる器楽演奏を織り交ぜるプログラム構成は昨日と同様だが、曲目は今日のほうが多い。ためしに上記の曲目リストでは演奏者を色分けしてみたが、こうしてみると変化に富む構成であることがよくわかる。会場で手渡されたプログラムには載っていなかったモンテヴェルディの「Oblivion Soave (安らかにみな忘れ)」(歌劇「ポッペアの戴冠」より)が演奏されたのもラッキー。ポッペアの乳母が歌う、この子守唄は好きな曲だ。

ジャルスキーは絶好調で、艶のある高音は震えがくるほど美しかった。また、彼の特質であるデリケートなピアニシモを味わえる、こじんまりしたホールであることもよかった。野太い声のガレアッツィが歌う土俗的なイタリア民謡と、透明感のあるジャルスキーの初期バロック曲の取り合わせが、違和感を感じるどころか、不思議とマッチしていたのは考え抜かれたプログラム構成のおかげだろう。ラルペッジャータの器楽奏者たちも名手揃いで、丁々発止の即興演奏に引き込まれた。

長らく一緒にコンサートツアーを続けているジャルスキーとラルペッジャータは、ファミリーのようなものなのだろう。互いの信頼感に裏付けられたアンサンブルの妙味を味わえる、素晴らしいコンサートだった。大喝采を浴びても出しゃばらず、いつも共演者に花を持たせようとするジャルスキーのステージマナーも、大変に好感のもてるものだ。

この晩はアンコールも大サービスで、それぞれに楽しい趣向がこらされた曲が5つ演奏された。

【アンコール】
・ガレアッツィ:「家が欲しいな」(観客参加型)
・モンテヴェルディ:「ああ、私は倒れてしまう」(ジャズか?)
・作者不詳:「天国と地獄のシャコンヌ」(下記動画をご参照)
・ガレアッツィ:「ああ、美しき人生」(ガレアッツィとジャルスキーが歌合戦状態に...)
・モンテヴェルディ:「苦しみが甘美なものならば」(日本語歌詞による)

アンコール最後の「苦しみが甘美なものならば」については、ネタばれになるので11月10日の最終公演(大阪)が終わるまではどこが「special version」だったのか書かないでおくが、この曲を歌って喝采を受けたジャルスキーが、ラルペッジャータのメンバーで鍵盤奏者の北御門はるさんの方を向いて拍手を贈る仕草を見せた、というのをヒントにしておく(といっても、いろいろな人がネタばれしているみたいだが)。

【追記】 アンコールで歌った「苦しみが甘美なものならば」special versionの種明かし。なんとジャルスキーはこのイタリア語の歌を日本語で歌ってくれたのである。11月5日の王子ホールでの同内容のコンサート終了後に北御門さんに伺ったところ、すでに日本語に訳された歌詞があり、北御門さんがその歌詞に音符を割り振ってジャルスキーが歌えるようにしたそうだ。イタリア語と日本語の構造の違いを考えると大変な作業だったと思うが、その甲斐あって旋律の美しさはそのままに、イタリア語版とは一味違った親しみやすい歌になっていた。

↓ 昨年9月のアンブロネー音楽祭で演奏されたジャルスキー&ラルペッジャータの「天国と地獄のシャコンヌ」。ヴァイオリンのタンピエリとコルネットのシャーウィンが突然歌手に変身。それを迎え撃つジャルスキー。3人とも、なかなかの役者だ。


↓ そしてアンコールでの「ああ、美しき人生」の、ガレアッツィとジャルスキーの掛け合いは、こんな感じ。(前の週にパリで開かれた「ジャルスキーのデビュー10周年記念コンサート」でのジャルスキーとゲストのガレアッツィ)


前日のジョイントコンサートではやらなかったサイン会も、この夜は開催され、ジャルスキーとプルハルの両氏が並んでサインに応じてくれた。9月にヴィシーのオペラハウスでジャルスキーと言葉を交わしたとき、秋の東京公演に行くと言っておいたのを覚えていてくれて「昨日もいらしてましたね。この辺(と、手で位置を示す)の客席に座っていたでしょう?」と言われたので、嬉しくもあり、赤面ものでもあり。相好を崩してステージを凝視する姿を見られてしまったか...。

前日の、やりにくそうなただっ広い会場や、我が道を行くタイプのピアノ伴奏者のことが頭にあって、「昨日もよかったけれど、今日はもっと幸せそうにみえましたよ」とうっかり口をすべらせたら、ジャルスキーは隣に座っているプルハルさんと顔を見合せて微笑んだ。おっと失言!と思って「いや、昨日も幸せそうでしたけど...」と取り繕ってみたけれど。

時間管理に厳しい主催者は、サイン会が長引かないよう気をもんでいる様子だったが、ファン一人一人に時間をかけて接してくれる二人のアーチストは終始にこやかで、ファンの感想を聞いたり質問に答えたりしてくれていた。プルハルのサインは笑顔のマンガ入り。物静かで神秘的な雰囲気にもかかわらず、意外とお茶目な人なのかも。

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【出演】
フィリップ・ジャルスキー Philippe Jaroussky:カウンターテナー
クリスティーナ・プルハル Christina Pluhar:指揮&テオルボ
ルチッラ・ガレアッツィ Lucilla Galeazzi:ヴォーカル
エーロ・パルヴィアイネン Eero Palviainen:リュート、バロックギター
マルギット・ウベルアッケル Margit Übellacker:プサルタリー
アレッサンドロ・タンピエリ Alessandro Tampieri:バロックヴァイオリン
ドロン・シャーウィン Doron Sherwin:コルネット
ミシェル・クロード Michèle Claude:打楽器
北御門はる Haru Kitamika:チェンバロ

【追加情報】 この公演で超絶技巧のバロックヴァイオリンを弾きまくって鮮烈な印象を残したアレッサンドロ・タンピエリは、12月に予定されているヴァイオリニスト&指揮者のエンリコ・オノフリの来日公演にもコンサートマスターとして参加する。公演は12月9日(水)および10日(木)、東京・紀尾井ホールにて。詳細はエンリコ・オノフリの日本語公式サイトをご参照。
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by bonnjour | 2009-11-01 03:58 | 聴く&観る