B的日常
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ドイツ、デンマーク、フランス(一瞬)と、流浪の生活を約10年。昨年秋にポーランドに流れ着く。音楽、美術、風景、食べ物など、美しいものや変わったものを追いかけて味わうのが好き。
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美しいものや変わったもの、美味しいものを追いかけるのが好きです。日々の生活で接した、そうしたものへの感想を綴っていきます。過去の記事であってもコメントは大歓迎です。メールはこちらにどうぞ。
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ミキティがモーツアルトのレクイエムで
夫婦揃ってスポーツ音痴だが、さすがにオリンピック期間中はTVをつけたりしていた。先週、女子フィギュアスケート(ショートプログラム)をぼんやりと見ていたら、安藤美姫選手がモーツアルトのレクイエムのメロディに乗って演技を始めたのでびっくりした。しかも、出だしからいきなり「Lacrimosa dies illa」(涙の日)。今シーズンの安藤選手のショートプログラムはこの曲を使用しているのだということを、初めて知った。

オリンピックの映像は権利の関係で一般の動画サイトには掲載されていないようなので、昨年12月の全日本選手権での「レクイエム」を貼り付ける。



フィギュアスケートの演技に合わせて編曲するので仕方ないとはいえ、こんな風にぶった切られて、映画音楽風にシンセサイザーでグイグイやられてしまうと、なんだかモーツアルトが気の毒になる。

モーツアルトは、まさにこの「Lacrimosa dies illa」の、8小節目で力尽きてしまったと伝えられるが、自筆譜を見ると、本当に8小節目ではたと筆が止まっているのが痛々しい。(写真の下のカッコ内の数字は小節)

c0163963_682384.jpg
(3) Lacrimosa
(4) dies illa
(5) qua resurget


c0163963_692618.jpg
(6) ex favilla
(7) judicandus
(8) homo reus

*9 & 10小節目のソプラノ・パートのみの書き込みは、モーツアルトの友人だった作曲家ヨーゼフ・アイブラーによる補筆。アイブラーは結局補筆を断念してしまい、お鉢が回ってきた弟子のジュスマイヤーによる補筆版が現在、普及しているという次第。

ナクソス・ミュージック・ライブラリーで、久しぶりにこの曲を聴いてみた。有名曲だけあっていろいろなディスクが揃っているが、ウィーン少年合唱団によるものがあった(NMLのリンクはこちら)。ソリストはソプラノにマックス・エマニュエル・チェンチッチ、アルトにデレク・リー・レイギンという、カウンターテナー好きには興味をそそられる顔ぶれだ。こちらで試聴できる。変声後にもかかわらずソプラノ・パートを歌っているチェンチッチは、喉が詰まった感じでかなり無理して歌っている印象。カウンターテナーに転向してよかった。

c0163963_11304174.jpg


今まで聴いたモーツアルトのレクイエムで一番心に残っているものといえば、1992年に没後200年を記念し、東京・四谷のイグナチオ教会で行われた実際のミサの中で演奏されたものだ。宗教音楽は典礼で使われる実用音楽でもあるので、本来あるべき場所で演奏されるのがもっともふさわしいということもあるのだが、この時ミサを司式したイエズス会士で上智大教授のペトロ・ネメシェギ神父が、モーツアルトを深く愛する人だったという因縁もある。

ハンガリー出身のネメシェギ師は1956年(ハンガリー動乱の年だ)に来日し、40年近く日本で布教活動をした後、民主化された祖国のカトリック教会立て直しのため、1993年にハンガリーに戻られた。大変に魅力的な人物で、彼が講師を務める一般向けの信仰講座は参加者が殺到した。当時、妹がこの講座に出ていた縁で、ハンガリーに発つ前の送別会に私も行ったのだが、さながらファンクラブの集いみたいだった。

どうしておられるかと検索したら、なんとモーツアルトのレクイエムについて講演している(らしい)動画が出てきた。ハンガリー語なので、内容はまったくわからないが、昨年の録画のようだ。1923年の生まれだから86歳になっておられたはずだが、かくしゃくとしているので安心した。今でもたびたび訪日し、講演などをこなしておられるようだ。
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by bonnjour | 2010-03-04 05:45 | 聴く&観る