B的日常
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ドイツ、デンマーク、フランス(一瞬)と、流浪の生活を約10年。昨年秋にポーランドに流れ着く。音楽、美術、風景、食べ物など、美しいものや変わったものを追いかけて味わうのが好き。
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美しいものや変わったもの、美味しいものを追いかけるのが好きです。日々の生活で接した、そうしたものへの感想を綴っていきます。過去の記事であってもコメントは大歓迎です。メールはこちらにどうぞ。
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相談相手は乳母
先週マドリッドで見てきたモンテヴェルディの「ポッペアの戴冠」では、男性歌手が演じる二人の乳母が登場した。皇帝ネローネと浮気して最後は略奪愛の勝者となる人妻ポッペアには、相談相手である老いた乳母アルナルタ(テノール)がいる。そしてネローネの正妻オクタヴィアにも乳母(カウンターテナー)が仕えている。

昔の高貴な人々は自分で子育てなぞしないから、名門の娘にとっては幼い頃から面倒を見てくれた乳母が保護者であり相談相手となったわけだ。「ポッペア」の場合は、女主人と乳母はまさに運命共同体で、ポッペアがめでたく皇后の地位を得ることになるとアルナルタが「これで私も皇后付き女官に出世」とはしゃぐ。

「ポッペアの戴冠」で、アルナルタが「すべてをお忘れなさい」といって子守唄「Oblivion soave」を歌い、ポッペアを眠りにつかせるシーンは、しみじみと美しい。



Arnalta: Thomas Michael Allen (T)
Théâtre des Champs-Élysées - Paris
Conductor: Rene Jacobs, Director: David McVicar
バロック・オペラでは乳母役にテノール歌手をあてるのが伝統だったそうで(年老いた女は女性的特質を失ってるってこと?)、メイド服(?)にカーディガンを羽織ったテノールのトーマス・マイケル・アレンがポッペアをやさしく寝かしつける。



Ezio Pinza sings " Oblivion soave" (Claudio Monteverdi)
Fritz Kitzinger, piano
録音:1940年
イタリアの大歌手、バスのエツィオ・ピンツァ(1892-1957)が歌ったバージョンは歌曲的。オペラの筋から離れ、独立した作品として歌っている。



Philippe Jaroussky (CT)
L'arpeggiata (Christina Pluhar) "Monteverdi: Teatro d'Amore"
マドリッドでネローネを熱唱したジャルスキーもアルバム「Teatro d'Amore」でこの曲を歌っているが、乳母というよりは天からの声といった趣きが強い。これも独立作品系。

さて、芸術作品に登場する乳母の中でもっともインパクトが強く、物語を牽引する役割を担うのは、シェイクスピアの「ロミオとジュリエット」の乳母だろう。



バズ・ラーマン監督の、舞台を現代に移し替えての「ロミオ&ジュリエット」(1996)から。06:28頃からジュリエット(クレア・デインズ)の乳母(ミリアム・マーゴリーズ)が登場する。ここでは主人であるキャピュレット家が白人であるのに対し、乳母はヒスパニック系という設定。社交に忙しい実の母にかわりジュリエットが心を打ち明ける相手は、この陽気で野卑なほど生のエネルギーにあふれる乳母だ。

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↑ 春日局。乳母といっても、徳川将軍を育てて権力をほしいままにしたこの方たちの位置付けは、西洋の乳母とはちょっと違うだろう。
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by bonnjour | 2010-06-02 18:07 | 聴く&観る