B的日常
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ドイツ、デンマーク、フランス(一瞬)と、流浪の生活を約10年。昨年秋にポーランドに流れ着く。音楽、美術、風景、食べ物など、美しいものや変わったものを追いかけて味わうのが好き。
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バルトリとファジョーリのコンサート@バービカン・ホール
チェチーリア・バルトリが、カウンターテナー界の実力派新人として注目されているアルゼンチン出身のフランコ・ファジョーリを伴って「ヘンデルと彼のライバルたち」と題したコンサートをヨーロッパ各地で行っている。12月8日、ロンドンのバービカン・ホールで行われた回に行った。これはホールが主催するGreat Performersというシリーズの一環となっている。

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実はバルトリを実演で聴くのは今回でやっと2回目で、前回は90年代前半の来日公演だった。モーツアルトやロッシーニを主なレパートリーにする、ものすごい才能をもった若手歌手として盛んにプロモーションされていた頃で、趣味で声楽を習い始めていた私は、彼女のイタリア古典歌曲のアルバムにノックアウトされた。声楽初学者の教材の定番であるイタリア古典歌曲は手垢がついてしまっている感があるが、バルトリのみずみずしい感性で歌われた古典歌曲は、まったく違った芸術世界を構築していたのだ。その時から彼女は私にとって偉大なアイドルだ。もっとも、初めて聴いたときのバルトリはまだ20代の、可愛らしい声をした少女の面影を残す歌手で、お姫様のような裾の広がった古典的なドレスがよく似合った。そんな彼女が20年後には押しも押されぬスーパースターになって、アルバム「Sacrificium」ではアンドロギュノス的なイメージをふりまくまでになるとは思いもしなかった。

共演のバーゼル室内管弦楽団による「リナルド」前奏曲に続き、バルトリが舞台に登場する。アルミーダのアリア「Furie terribili」が今日の1曲目。よく指摘されるように声量はあまりないのだが、役に入りきる感情移入と、多彩な表現を可能にする声楽的テクニックは圧倒的だ。2曲目のアリア「Ah, crudele」に先立ち、レチタティーヴォ・アコンパニャートの「Dunque i lacci d'un volto」が始まると、まるで話している言葉がそのまま音楽になったかのような流麗さ。自分の一部となっている母国語に音楽をのせればいいのだから、イタリア人歌手は有利だけど、まるで名女優のように歌詞に感情と情念を込められる歌手は多くないだろう。この後に披露された様々な技巧的アリアのアクロバット的かつ完璧な歌唱もさることながら、このレチタティーヴォに感銘を受けた私は変わり者かもしれない。

休憩をはさんで後半は、いよいよフランコ・ファジョーリが加わって「ジュリオ・チェーザレ」の抜粋が歌われる。ファジョーリの最初の曲はチェーザレのアリア「Va tacito e nascosto」。狩の喇叭を模したホルン奏者を従えて、堂々の歌唱だ。

生で聴く彼の声はある種の女声アルトに似た印象を受けたが、時折りのぞく男性的な音色がスリリングだ。そして速いパッセージも楽々と歌いあげた2曲目の「Al lampo dell’armi」では、早くもブラボーの声が飛んだ。私が一番注目したのは「Dell’ondoso periglio… Aure, per pieta'」の、アリアの出だし「Aure...」で、永遠に続くと思われるような長く引き伸ばされた1音目の完璧なブレスのコントロールは、ただ者じゃなかった。

そして、バルトリとファジョーリはいつデュエットをやるかというと、最後までじらされて、プログラムの最後に「Caro!... Bella!... Più amabile beltà」が歌われた。バルトリがコンサート・ツアーの相手役に選んだだけあって、彼女がファジョーリに寄せる信頼と、ファジョーリがバルトリに対してもつ尊敬の念が感じられるようなデュエットだった。

バルトリの舞台での存在感は神々しいまでで、なんというか、女神の域に達している。そして80年代生まれ(!)という若いファジョーリは、実年齢のはるか上をいく完成度で、この先どんな歌手になるのだろうかと楽しみというよりは、末恐ろしい感じだ。フランコ、おそろしい子!
(by「ガラスの仮面」の月影先生)。

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↑カーテンコールにこたえる女神とおそろしい子。

なおフランコ・ファジョーリの最新情報は、アルチーナさんのブログに詳しい。

【プログラム】

Handel and his Rivals

Handel Ouverture from Rinaldo
Handel 'Furie terribili' from Rinaldo
Handel ' Dunque i lacci… Ah, crudele' from Rinaldo
Handel ' Scherza in mar' from Lotario
Veracini Ouverture No 6 in G minor - Allegro
Handel ' Ah, mio cor', from Alcina
Porpora Ouvertures from Cantatas Gedeone' and 'Perdono, amata Nice -

Adagio – Spiritoso andante – Allegro
Handel ' Ah, che sol per te, Teseo… M’adora l’idol mio' from Teseo
Handel ' Mi deride… Desterò dall’empia Dite' from Amadigi

Handel Scenes from “Giulio Cesare in Egitto”
Ouverture
' Va tacito e nascosto'
Sinfonia 'Il Parnasso'
'V’adoro pupille'
' Al lampo dell’armi'
Che sento, o dio… Se pietà'
'Dell’ondoso periglio… Aure, per pieta'
Da tempeste
'Caro!... Bella!... Più amabile beltà'

Kammerorchester Basel
Cecilia Bartoli mezzo-soprano
Franco Fagoli Countertenor

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by bonnjour | 2010-12-08 11:44 | 旅する