ヨーロッパの地方都市を転々とした挙げ句、ポーランドに流れ着いた管理人「B」の日常。音楽、美術、風景、食べ物など、美しいものや変わったものを追いかけて味わうのが好き。
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美しいものや変わったもの、美味しいものを追いかけるのが好きです。日々の生活で接した、そうしたものへの感想を綴っていきます。過去の記事であってもコメントは大歓迎です。メールはこちらにどうぞ。
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東京都写真美術館のお正月無料開館(1月2日)に行ってきた
2013年 01月 03日
TwitterでフォローしているHODGE_EGDOHさんのリツイートで知った、東京都写真美術館のお正月無料開館(1月2日)に行ってきた。開催中の3本の展覧会が無料という、嬉しいお年玉企画だ。
北井一夫 「いつか見た風景」 木村伊兵衛写真賞の第1回受賞者である北井一夫(1944-)の、美術館での初の個展とのこと。学生時代に撮ったものから現在の作品まで、彼の足跡が分かる構成。最新作である、東日本大震災の被災地の「道」を撮った連作は、瓦礫の中に道路だけが残っている無人の風景写真で、見ていると恐ろしさと悲しさが襲ってくる。初期作品の三里塚闘争のドキュメンタリーは、新聞の客観的な報道写真などでは見られない、反対運動の主体である農民側から捉えた視点が心を打つ。 三里塚闘争については、成田空港開港前の、小学生時代にちょっとした思い出がある。雑誌編集者だった父が仕事で接点のあった、反対運動の幹部 I氏の自宅を訪問するのに同行した。なぜ小学生の子供が付いていったのか不明だが、同じ方面に別の用事があったのかもしれない。地元の地主農家である I氏の家は古くて大きく、そのあたり一帯は、どこからか家畜の鳴き声がするような、のどかな場所だった。こんな所に空港を作るなんて、無謀だよなと子供心に思ったことである。今回の展示が、そんな思い出を蘇らせてくれた。 映像をめぐる冒険vol.5 「記録は可能か。」 「記録としての映像」をテーマに、リュミエール兄弟の世界初の実写映画「工場の出口」(1895年公開)から現在までの、記録映像の変遷と可能性を考える企画展(ところでこのタイトル、「羊」がいつのまにか「映像」に変身しちゃったのだろうか)。アート的な写真や映像も好きだが、ドキュメンタリーものはそれに輪をかけて好きなので、大変に興味深く展示を見た。 1950年代の学生セツルメント運動から生まれたフィルム版紙芝居ともいうべき「ぼくのかあちゃん」「自転車にのってったお父ちゃん」(ともに製作:東大セツルメント川崎こども会、作画・構成:加古里子)や、中谷芙二子(1933-)の「水俣病を告発する会-テント村ビデオ日記」などは、時代の証言といえる秀作。ドイツのニナ・フィッシャー(1965-)&マロアン・エル・ザニ(1966-)による、端島(通称:軍艦島)を撮った「スペリング・ディストピア/サヨナラ・ハシマ」は、廃墟マニアの私の心をくすぐる作品だった。 リュミエール兄弟の上記映画だが、会場を探し回ったところ、展覧会の入り口のパネルにはめ込まれた小さなディスプレイで流していた。なんか虚を突かれた感じ(笑)。 この世界とわたしのどこか 日本の新進作家vol.11 文字通り、日本の新進写真家5人の作品展。イギリスのオルタナティブ教育校に10歳で単身留学した体験記「サマーヒル少女日記」を出して話題になった大塚千野(1972-)の「ダブル・セルフ・ポートレイト」は、写真家自身の姿を自らの少女時代の写真にデジタル処理(巧妙!)で焼き込んだ作品だ。あどけないが意志の強そうな少女と、美しく成長した若い女性。同じ画面に佇む二人は、顔かたちからも(同一人物なんだから当たり前だ)年齢差からも、母娘のようにもみえる。 北京在住の菊地智子(1973-)による、中国の都市部に集まる地方出身のトランスジェンダーの人々やドラァグ・クィーンをテーマにした作品は、現在の中国のナマの姿を伝えている。一昔前の中国では日陰の存在だったトランスジェンダーだが、経済成長とともに社会も変化してきたのか、今では芸能界で成功する人も出てきて、世間に徐々に受け入れられるようになってきたという。 お正月早々、なかなかに刺激的な展覧会を3つも見ることができて嬉しい。
by bonnjour
| 2013-01-03 19:16
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