B的日常
bonnjour.exblog.jp

ドイツ、デンマーク、フランス(一瞬)と、流浪の生活を約10年。昨年秋にポーランドに流れ着く。音楽、美術、風景、食べ物など、美しいものや変わったものを追いかけて味わうのが好き。
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
ブログパーツ
プロフィール
美しいものや変わったもの、美味しいものを追いかけるのが好きです。日々の生活で接した、そうしたものへの感想を綴っていきます。過去の記事であってもコメントは大歓迎です。メールはこちらにどうぞ。
最新のトラックバック
Wheelock's L..
from えいじゅなすの本棚 − 英語..
ミケランジェリ/ショパン..
from クラシック音楽ぶった斬り
フィリップ・ジャルスキー..
from ご~けんのAudio & C..
NAXOS MUSIC ..
from Ceciliaの部屋
カテゴリ
以前の記事
その他のジャンル
ウィーン旅日記 - ボッシュの地獄絵、「赤いウィーン」の巨大集合住宅、ワイン居酒屋
c0163963_9392336.jpg

ウィーン旧市街の中心部、シュテファン寺院に近い、家族経営のレトロなペンションでぐっすり眠った。この宿は、約20年前にも泊まったが、当時と内装がほとんど変わっていないようだ。インテリアも設備もレトロだが、リネン類はぴしっとアイロンがかかって清潔で、ベッドのマットレスが日本人好みに程よく硬いので(イタリアあたりの柔らかいマットレスは腰が痛くなるのでダメだ)快適に滞在できる。部屋に冷蔵庫がないのが難だが、二重窓の隙間の空間がちょうどよい具合に天然の冷蔵庫として機能するのを発見し、スーパーで買ったワインを置いてみたら美味しく飲めた。無線LANが使い放題で無料というのも嬉しい。国立歌劇場からは歩行者天国のケルントナー通りを通って徒歩で帰れるので、低予算でオペラの旅をするならもってこいの宿だ。

さてウィーン2日目。午前中は造形美術アカデミーの付属絵画館でヒエロニムス・ボッシュの「最後の審判」(下の写真)を鑑賞。このアカデミーは、画家志望だった青年ヒットラーが入学試験に2度落ちて、後に独裁者になると逆恨みからアカデミー関係者を弾圧したという因縁の場所。絵画館の所蔵品はボッシュの他にクラナッハ父、17世紀フランドル絵画(ルーベンス、ファン・ダイク、レンブラント)、イタリアとオーストリアのバロック絵画など。ボッシュのファンタジーにあふれる怪物の図像を見ているうちに、どんどん時間が過ぎていくのであった。

c0163963_1011217.jpg

ボッシュの後は、ウィーンに長く住んでおられる日本人女性のTさんと、バルカン半島(セルビア)料理のレストランでランチ。拙ブログにコメントをくださったことで知り合ったTさんは音楽、とりわけ古楽ファンで、現地の音楽関係者のお知り合いも多いので、とても興味深い話をお聞きすることができた。金曜日のアン・デア・ウィーン劇場「ポリフェーモ」にもいらっしゃるので、楽しみだ。

ランチの後、地下鉄でハイリゲンシュタットに出る。かつてベートーベンが住み、難聴に絶望して遺書を書いたことで有名になった場所だが、私の目的はベートーベンゆかりの地めぐりではなく、1927年に竣工した巨大な集合住宅、カール・マルクス・ホーフだ。

c0163963_10342454.jpg

カール・マルクスの名前が付けられている通り、この建物は第一次世界大戦後、ハプスブルク家の支配に代わって社会主義政権が市政を担った「赤いウィーン」時代の代表的な市営住宅だ。設計は、オットー・ヴァグナーの弟子のカール・エーン。時代背景としては、旧ハプスブルク帝国領からウィーンに移住した労働者たちのために、低料金で健康的な住宅を大量に供給する必要があり、市内各地に多数の市営住宅が建設された。

地下鉄4番線終点のハイリゲンシュタット駅を降りると、目の前に城壁のような建物がでーんと現れる。それがカール・マルクス・ホーフだ。細長い敷地に高層住宅が連続的に建てられており、全長は1km、世帯数は1,382にもなる。まだ現役の住宅なので内部の見学はできないが、外観を見るだけでも大変な迫力だ。住居だけでなく、幼稚園や図書館、歯科診察室などサービス施設も併設して、小さな都市のような機能を備えていたという。しかし、社会主義の理想を求めた「赤いウィーン」は、1938年のナチス・ドイツによるオーストリア併合で終焉を迎えたのだった。

c0163963_1194731.jpg

デザインは表現主義。住宅としては味気ない感じもするが、造形的にはとても美しい。写真を撮りながら、見とれてしまった。
c0163963_1111314.jpg


c0163963_111127100.jpg

c0163963_11115468.jpg


巨大団地の見学の後は、ワイン産地であるグリンツィング地区まで散歩(30分くらい歩いたか)。途中で見つけた自家醸造のワインを飲ませる居酒屋で、250ミリリットル、2ユーロ60という超リーズナブル価格の新酒白ワインを味わったのであった。
c0163963_11142199.jpg


c0163963_11143689.jpg


c0163963_1114513.jpg


[PR]
by bonnjour | 2013-02-21 09:36 | 旅する