B的日常
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ドイツ、デンマーク、フランス(一瞬)と、流浪の生活を約10年。昨年秋にポーランドに流れ着く。音楽、美術、風景、食べ物など、美しいものや変わったものを追いかけて味わうのが好き。
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美しいものや変わったもの、美味しいものを追いかけるのが好きです。日々の生活で接した、そうしたものへの感想を綴っていきます。過去の記事であってもコメントは大歓迎です。メールはこちらにどうぞ。
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ムハンマドの風刺画ふたたび
2005年に大騒動となった「ムハンマドの風刺画」の作者を殺害する計画を立てた容疑で、デンマーク在住のイスラム教徒3名が昨日拘束された(彼らがいたのは、私の住んでいるオーフスの近郊)。この殺害計画発覚に抗議して、今日は震源地である新聞「Jyllands-Posten」をはじめとするデンマークの地元紙が一斉に風刺画の再掲載を行った。

2005年の騒動の際はドイツにいて、隣の国の出来事という距離感があったが、なんの因果か騒動の中心となったJyllands-Postenの本社があるオーフスに住むことになった。ということで、今回は臨場感(?)もひとしおで、色々と考えてしまった。

まず、いくら頭にきたからといってこの漫画を描いた作者を殺害するというのは、もちろん絶対に許されない行為である。また、「そういう発想をするからこそ、イスラム教は暴力的である」と非難される理由を作ることにもなる。

一方、「表現の自由」を錦の御旗にイスラム教という他宗教、異文化への誹謗中傷を新聞という社会の公器で行うのは「自由」の乱用だ。(実際、デンマークの刑法では、合法的な宗教の教義や崇拝に対し、公開の場で侮辱することを禁じている)。しかも、前回この風刺画を掲載してイスラム世界(およびデンマークのイスラム系住民)の心を傷つけたのに、これみよがしに再掲載する見識が理解できない。

たとえばデンマークは国教として福音ルーテル派を信仰しているが(国民の9割以上がこの宗派に属し、強制的に教会税が課せられる)、表現の自由ということで「聖書の内容は嘘八百だ」「十字軍の昔から、キリスト教は血塗られた宗教だ」などという言説を、大新聞でくり広げたらどうなるだろう。反社会的行為として断罪され、不買運動が起こるだろう。もちろん新聞社は、そのような自分の首を絞める馬鹿な真似はしない。

こうしてみると、自分に都合の悪いことは自己規制するくせに、他人の宗教はないがしろにする、という二重規範は明白で、表現の自由だなんて胸を張れたものではない。もっといってしまうと、人々の心の中にある、なんだかモヤモヤしたイスラム教徒への反感や偏見におもねって、「この漫画、面白いでしょう。やっぱりイスラム教徒って、得体が知れなくて怖いよね」とにじり寄ってくるような「あざとさ」を、この漫画から感じるのだ。オーフスの街を歩いているとイスラム系の住民の姿をよく見かけるが、今日、風刺画が掲載された新聞を目にした彼らは心臓にナイフを突き立てられた気持ちになったのではと心が痛む。

風刺画の再掲載は、子供の喧嘩なみの、レベルの低い意地の張り合いにしか思えない。新聞社として暗殺計画に抗議するなら、もっと建設的でクリエイティブな企画を立てればよかった。そういう創造性があればの話だけどね。
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by BONNJOUR | 2008-02-13 20:24 | 思う