B的日常
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ドイツ、デンマーク、フランス(一瞬)と、流浪の生活を約10年。昨年秋にポーランドに流れ着く。音楽、美術、風景、食べ物など、美しいものや変わったものを追いかけて味わうのが好き。
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美しいものや変わったもの、美味しいものを追いかけるのが好きです。日々の生活で接した、そうしたものへの感想を綴っていきます。過去の記事であってもコメントは大歓迎です。メールはこちらにどうぞ。
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2006年 02月 23日 ( 1 )
ムハンマド風刺画騒動とダブル・スタンダード
数週間前から、各地で死者を出す騒ぎになっているムハンマド風刺画問題。初めにニュースを聞いたとき、よりによって偶像崇拝を厳しく禁じるイスラムの、神聖な預言者を戯画化するのは決定的にマズイでしょう、とまず思った。たとえ好意的に描いたとしても、ムハンマドを図像化すること自体が大変な不敬行為なのだ。そしてその風刺画の内容といえば、爆弾型のターバンを巻いたムハンマドを含む、イスラムを貶めるようなものだったと知り、こりゃダメだと頭を抱えてしまった。

この風刺画を初めに企画したデンマーク紙および、転載した欧州各国のメディアは、これを表現の自由だと主張する。が、ネットで問題の風刺画のコピーを見た感想からいうと、ムハンマドを戯画化するという、他宗教へのあまりにも心無い仕打ちに加え、イスラムとテロリズムを同一視するようなこの「作品」は、風刺画に必要不可欠なユーモアのかけらもない、悪質なネガティブ・キャンペーンだ。その根底には、イスラムを自分たちとは異質なものとみなし、彼らの尊厳を踏みにじることに何のためらいも持たない傲慢さが見え隠れする。そして、イスラム過激派にかっこうの口実を与えてしまったという、手際の悪さも。

その一方で、ホロコーストを否定したとして英国の歴史家がオーストリアで有罪となり、禁固2年の刑が言い渡されたというニュースが飛び込んできた。タイミングが悪かったというべきか、良かったというべきか、西欧の「言論の自由」におけるダブル・スタンダードを象徴する出来事として、注目を浴びることになってしまった。

ナチの負の遺産を払拭しようと懸命なドイツやオーストリアでは、こうしたホロコースト否定の言動を行うこと自体が犯罪であり、今回の歴史家のように、刑罰の対象となる。つまり、「ナチ関連」はアンタッチャブルであり、言論の自由の例外として存在するのだ。

これ以外でも、西欧ではキリスト教やユダヤ教に関する否定的言動は、メディアの自己検閲的な「配慮」によって回避されているのが実情だろう。キリスト教的ないしユダヤ教的世界観をバックグラウンドとする主流読者に不快感を与えることに加え(読者の不買運動が起これば、経営危機に瀕する)、世間から反キリストとか反ユダヤ主義と糾弾されれば厄介な問題を抱え込むのだから。

こうした実情をみると、彼らが主張する「言論の自由」も案外、ご都合主義であることがわかる。
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by bonnjour | 2006-02-23 21:52 | 思う