B的日常
bonnjour.exblog.jp

ドイツ、デンマーク、フランス(一瞬)と、流浪の生活を約10年。昨年秋にポーランドに流れ着く。音楽、美術、風景、食べ物など、美しいものや変わったものを追いかけて味わうのが好き。
ブログパーツ
プロフィール
美しいものや変わったもの、美味しいものを追いかけるのが好きです。日々の生活で接した、そうしたものへの感想を綴っていきます。過去の記事であってもコメントは大歓迎です。メールはこちらにどうぞ。
最新のトラックバック
Wheelock's L..
from えいじゅなすの本棚 − 英語..
ミケランジェリ/ショパン..
from クラシック音楽ぶった斬り
フィリップ・ジャルスキー..
from ご~けんのAudio & C..
NAXOS MUSIC ..
from Ceciliaの部屋
カテゴリ
以前の記事
その他のジャンル
<   2008年 12月 ( 20 )   > この月の画像一覧
ギョーム・ルクーのヴァイオリン・ソナタ ト長調


音楽というと、ついついルネサンスやバロックなど古い方に足が向いてしまい、近代音楽はあまり聴かないのだが、「世にも美しい」と形容したくなる近代のヴァイオリン・ソナタに出会った。ベルギー生まれの作曲家、ギョーム・ルクー(Guillaume Lekeu, 1870-1894)の作品だ。上記のYouTubeで全曲が聴ける(ただし演奏時間35分ほどの曲を、アップロードの制約から4本に分割してあるのだが、曲の途中でいきなり切れてしまうのが残念。上記はPart1だが、Part2Part3Part4と続いている)。

生没年から分かるように、ルクーはわずか24歳で夭折している(ベルギーの瀧廉太郎って感じ?)。その彼が残した唯一のヴァイオリン・ソナタがこの作品で、大ヴァイオリニスト、ウジェーヌ・イザイの委嘱で書かれた。初演もイザイによる。若死にして作品があまり残っていないこともあり、ルクーの作品で今でもよく演奏されるのはこの曲くらいらしい。3楽章構成(第1楽章 Tres modere-Vif et passionne、第2楽章 Tres lent 、第3楽章 Tres anime)で、甘く切ない旋律が極上の美の世界に誘ってくれる。ルクーはセザール・フランクに師事していたので、この作品も師匠の影響が強いと解説には書いてあったが、ピアノ曲以外のフランス近代音楽は食わず嫌いでフランクの作品も殆ど聴いたことがない私には、判別不能。

パブリックドメインの無料楽譜はこちらで入手が可能。

ところで、食わず嫌いのフランス近代音楽、およびルクーという作曲家に目を向けるキッカケを作ってくれたのは、先月日本でリサイタルを開いたフィリップ・ジャルスキー。このリサイタルでフランス歌曲を取り上げた彼が、アンコールで披露した3曲の中に、ルクーの作品「Sur une tombe (墓前にて)」があった。作曲家自身が書いた詩に基づく連作「3 Poèmes」(1892)の一つで、まだ新しい供花の香る墓地で亡くなった恋人を思う、というメランコリックで美しい曲だ(といってもアンコールを聴いたその場で詩の内容が理解できるはずもなく、後で調べて、やっと分かった次第)。こちらの曲も、このサイトで無料楽譜の入手が可能だ。

それにしても、若死にした恋人を思う歌曲を書いた本人が、2年後には20代の若さで亡くなってしまうのだから皮肉なものだ。彼の命を奪ったのは、腸チフスだったそうだ。衛生状態や医学水準が今より劣悪だった当時、感染症で奪われた命の多さに驚く。
[PR]
by bonnjour | 2008-12-18 10:29 | 聴く&観る
街はクリスマス一色
街はクリスマス一色。朝からどんよりと曇った天気の上、日照時間が短いので、市庁舎前に設置された巨大クリスマスツリーのライトが一日中、光っていて美しい。
c0163963_82832.jpg



こちらはクリスマス・マーケット。ドイツのように屋外の広場に設営されるものを想像していたら、屋内で開かれていたので拍子抜け。ここは高緯度といっても、暖流(メキシコ湾流)のおかげでさほど気温が下がらす(雪もめったに降らない)、12月の平均気温も3度と「マイルドな」(<==観光局の弁)気候だ。冬の寒さは、我々が昨年までいたドイツのラインラント地方とさほど変わらないだろう。もしかして、地元の人はドイツ人より寒さに弱い?
c0163963_835534.jpg



マーケットの中は工芸品や手芸作品を売るブースが並んでおり、食べ物屋さんは入り口近くにオープンサンドイッチや飲み物を売るスタンドがあるだけだった(ガッカリ)。ドイツのクリスマス・マーケットだったらホットワインにソーセージ、ひとくちステーキ、マッシュルームの煮込み、蒸したプディング等々と延々と飲み食いの屋台が連なるところだが...お国柄の違いというやつかな。それと、このマーケットが閉まるのは夕方6時!早寝早起きのドイツでも、クリスマス・マーケットは夜9時頃までやっていたはずだが、夕方6時に閉まるのってちょっと早すぎるのでは?
c0163963_8515526.jpg



[PR]
by bonnjour | 2008-12-16 21:05 | 暮らす
これはまずいでしょ ---メキシコ版PLAYBOY表紙
c0163963_040250.jpg


メキシコ版PLAYBOY最新号の表紙です。Maria Florencia Onoriというモデルさんがステンドグラスの前で聖母マリアを思わせる白布をかぶってポーズをとり、ごていねいなことに胸の下あたりには「Te Adoramos, Maria」(「マリアちゃん、オレたち君にぞっこんだぜ」あるいは「マリア様、御身を崇めます」と両義的に読める)という文字がおどっている。

個人的にはモデルさん奇麗だし、いやらしい感じは皆無なので「ま、いいんじゃない」と見逃したい気持ちもするが、時と場所が悪かった。

最新号が発売された12月11日は、折りしもメキシコではグアダルーペの聖母の祝日(12月12日)という、16世紀のメキシコに出現した聖母マリアを記念する重要な祭日の前日だったそうで、この表紙はそれを念頭に置いて作ったとしか思えない。先住民族であるインディオの前に聖母が出現したこの出来事がきっかけとなり、当時のローマ教皇が植民地でのインディオの迫害を禁じる回勅を出したということで、「グアダルーペの聖母」はメキシコの民族主義の原点みたいな存在なのだ。

そんなわけで、メキシコ国民が敬愛するマリア様を侮辱したと槍玉に上げられたPLAYBOY本社は「メキシコ版はライセンス出版なので、本社のあずかり知らぬところで起きた不手際」(日本の企業不祥事でもよく聞く言い訳だ)と弁明した上で「ともあれ気分を害した方がおられたとしたら申し訳なかった」と謝罪する一方、当のメキシコ版PLAYBOYも「この表紙はグアダルーペの聖母、あるいは他のいかなる宗教上の人物を表現したものでもなく、単にルネサンス風の雰囲気をかもしだそうとしただけ」(どこがやねん)、と苦しいステートメントを出している。

うがった見方をすれば、これで雑誌の知名度も上がるのだから、やったもの勝ちという気もする。

ところで聖母マリアを扱った図像に関していえば、私はフランスのピエール&ジルというゲイ・カップルのアーティストの作品(下記)が好きだ。ピエールが写真を撮り、ジルがそれにレタッチを施すという役割分担で、神話や宗教からモチーフを取ったキッチュで華美な作品を生みだしている。神聖なマリア様をダシにして、ゲイ・テイストにあふれるこんな作品を作ってしまうのも、充分に罰当たりだとは思うのだが。

c0163963_214442.jpg
[PR]
by bonnjour | 2008-12-15 02:22 | 息抜き
寒い日はロシア音楽 ボリス・ゴドゥノフ
今日は珍しく晴天。なので、冷え込みが一段と厳しい。寒い日は寒い国の音楽が似合う、ということで長らく遠ざかっていたムソルグスキーのオペラ「ボリス・ゴドゥノフ」を聴く。前によく聴いていたライモンディ盤は今、手元にないのでナクソス・ミュージック・ライブラリー(NML)を活用する。ボリス役として極め付けといわれた(名前が同じだからというわけではないだろうが)ブルガリア出身のバス歌手、ボリス・クリストフがタイトルロールを歌った1952年の録音。こういう時、NMLって本当に便利だ。
c0163963_1155187.jpg

ムソルグスキー:歌劇「ボリス・ゴドゥノフ」(リムスキー=コルサコフ第2改訂版=1908年版)
演奏:
Boris Christoff (バス)
Andrzej Bielecki (テノール)
Kim Borg (バス)
Nicolai Gedda (テノール)
Eugenia Zareska (メゾ・ソプラノ)
Russian Chorus of Paris
フランス国立放送管弦楽団
Issay Dobrowen (指揮)

お伴はロシア式紅茶(実は小皿に入れたイチゴジャムをなめながら、ティーバッグの紅茶を飲むだけ)で本場の気分を盛り上げる。

ロシアの土の匂いがしてきそうな力強い音楽。権力を手にするため先帝の皇子を暗殺した(といわれる)実在の人物、ボリス・ゴドゥノフの良心の呵責と破滅を描いたプーシキンの原作を、作曲者自らが台本を書いて歌劇にした重厚な作品だ。4幕物で登場人物も多く、物語が入り組んでいるのだが、無理に筋を全部理解しようと気負わず(そもそもロシア語は分からないし)、陰影に富んだロシア語の響きと荒削りな音楽に耳を傾けるだけでも心はすでにロシアの大地に飛んでいく。

このディスク、なんといっても主役のボリス・クリストフの深みがあり、しかも朗々とした美しいバスの声と、それを縦横自在に使った心理表現が素晴らしい。幼い皇子を暗殺した良心の呵責で錯乱するところなんか、ゾクゾクくる。そして有名なボリスの死のシーンも感動的だ。錯乱した彼は、後継者たる息子のフョードル(少年という設定なので、メゾソプラノの役)に国を託し、死んでいくのだ。しかし暗殺されたはずの皇子が実は生きていたという触れ込みの偽者の皇子が反乱を起こし、皇位に就こうとする。最後に狂言回しの「聖なる愚者」が、巡り来るロシアの暗黒時代を予言して幕が下りる。

このディスクにはボーナス・トラックとして、フョードル・シャリアピン(1873- 1938)の歌ったボリスのいくつかのシーンが収録されているのも嬉しい。シャリアピンって、ステーキの名前の元になった昔の大歌手、くらいの認識しかなかったが、こんな録音が残っていたとは!

余談:カウンターテナーのフィリップ・ジャルスキーに、通常メゾが歌うフョードル役のオファーが来たことがあるそうだが、実現はしていない。カウンターテナーの層が厚くなった現在では、フョードル役にカウンターテナーを起用するプロダクションも出てきている(たとえばブライアン・アサワを起用した、2004年のバルセロナ・リセウ劇場の公演がDVDになっている)。
[PR]
by bonnjour | 2008-12-13 00:41 | 聴く&観る
キノコのオリーブ油漬け
相棒が同僚に「キノコのオリーブ油漬け」の話をしたらレシピが欲しいといわれた、ということで、義母からもらったフランス語のレシピを英語に訳すのを手伝った。相棒は「cooking pot」とか「bring to a boil」といった料理英語(?)には疎いのだ。

■ 用意するもの:大量のキノコ(どんな種類でも可。とはいっても「ナメコ」なんかは不適だろう)。オリーブ油とワインビネガーを同量。ローズマリーの小枝(大量)とローリエ(少々)。

■ 作り方:
1. 深い鍋にローズマリーとローリエを敷き、その上にキノコを載せる。これを鍋が一杯になるまで、何層か繰り返す。
2. 上記の鍋に、キノコがひたひたに浸かるまでオリーブ油とワインビネガーを注ぐ。
3. 鍋を火にかけ中火でワインビネガーが蒸発するまで加熱。
4. 鍋を火からおろし、キノコを金ザルで漉す。
5. キノコが冷めたら保存用ガラス瓶に入れ、キノコを完全に覆うように新しいオリーブ油を注ぐ。オリーブ油に漬けることで保存が可能。

キノコの分量やローズマリー、ローリエの量は「適当に」ということで義母が書いたレシピには指定されていなかった。こんなんで、大丈夫なんだろうか。また、そのレシピにはただ「油」とか「酢」としか書かれていなかったので、相棒は「Oil」と「Vigegar」と訳そうとしたのだが、「オリーブ・オイル」「赤ワインビネガー」と指定しないとデンマーク人には分からないよと指摘した。南仏人である相棒の常識ではオイルといえばオリーブ、酢といえばワインビネガーなんだけど、そうでない油や酢を使っている人が、この広い世界には一杯いることに思いが至らないらしい。日本では米酢がスタンダードなんだといったらビックリしていた。

このレシピ、キノコ採りに行って大量に採れてしまったときにいいかもしれない。ちなみにレシピを欲した相棒の同僚(男性)とは、同じ演習のクラスを受け持っていて、学生からの質問が来ない時には2人で与太話をしているそうな。教室の片隅で、おっさん2人がキノコの調理法の話に花を咲かせるとは...平和だ。

c0163963_24943.jpg

[PR]
by bonnjour | 2008-12-12 02:40 | 暮らす
元手いらずにモーツアルトのカラオケを作る方法
忘年会・新年会のシーズンを前に、二次会のカラオケに備えて特訓中の方もいるかもしれない。そういう、お付き合いでのカラオケで歌うにはちと不適切なものの(ドッチラケてしまうからね)、クラシックの歌曲やオペラ・アリアのカラオケを元手いらずに作る方法をご紹介する。

用意するのはインターネットに接続されたWindowsパソコンと、「仮面舞踏会」(ダウンロードはこちらから)という、パソコン上に流れている音をなんでも録音してしまうフリー・ソフトウェア。

このソフトの主な機能は次の通り。Windows付属のサウンドレコーダでPC上に流れる音声を録音できる環境であれば使用が可能。

(1)WAVE録音と再生
(2)タイマー録音(ネットラジオのタイマー録音も可能)
(3)MP3、M3U再生(あまりサイズが大きくないこと)
(4)WAVE⇔MP3変換、WAVEレート変換
(5)ID3 tag v1およびSIフィールド情報の作成、編集
(6)プレイリストM3U の作成、編集
(7)Webクイック接続(速攻ラジオステーション接続)

ただしOSがWindows Vistaの場合は「仮面舞踏会」は対応していないので、市販ソフトを使うとよい。たとえば次のようなものが出ている。

超驚録(公式サイトはこちら
こちらは14 日間無償で使用できるシェアウェアで、試用期間を超えて使用する場合はライセンスキー(税込2,980円)の購入が必要になる。

またMac OSの場合は類似の機能を持ったWireTapというシェアウェア(ダウンロードはこちら)があるそうだが、 Mac については全く無知なのでゴメンナサイ。

これでパソコン上の音を録音する環境が整ったら、次のサイトに飛んでいく。

Schubertline --- The online score service for singers

このサイトの「Library & Scorch Shop」というアイコンをクリックすると、作曲家のリストが出てくるので、好みの作曲家を選び、表示されたアリアや歌曲のタイトルをクリックすればオンラインの楽譜が出現する。楽譜を表示するのにはScorchというフリー・ソフトのダウンロード(DLサイトはこちら)が必要だが、その場合には画面にダウンロードの案内が表示されるので、指示に従ってダウンロードすればよい。

さて、無事に楽譜が表示されたら楽譜の左上にある▲マークをクリックすると伴奏と歌のメロディが流れてくる。これを先ほどの録音ソフトで拾えばお手軽カラオケの出来上がりだ。伴奏は、いわゆる打ち込みの電子音でアコースティックのピアノに比べればもちろん大いに見劣りがするのだが、クラシックのカラオケCDは種類が極端に少ないのと高価なことを考えると、ぜいたくなことは言っていられない。なお、伴奏演奏時にテンポ調整と移調の機能も付いているので、色々やってみて好みの伴奏に調整する。

曲のラインナップはバッハやヘンデルなどのバロック(宗教曲とオペラ・アリア)、イタリア古典歌曲、モーツアルトやベートーベンの歌曲とオペラ・アリア(多数)、ドイツリート、フランス歌曲、そしてヴェルディやプッチーニなどイタリア・オペラの名曲まで幅広い(リストを参照)。ヘンデルの「メサイア」など、今の季節にふさわしい曲もある。クリスマス・パーティにでも、皆で合唱するのはいかが?(そんなことするの、クラヲタだけだって?)

このサイトは楽譜をオンラインで販売することを目的としたものなので、表示される楽譜は、テスト用の1ページ目を除くと印刷が不可能だ。でも大丈夫、世の中には次のようなパブリック・ドメインの楽譜サイトがある。

新モーツアルト全集 デジタル版:モーツァルテウム財団が編集した「新モーツァルト全集」(印刷版はベーレンライター社から刊行)の楽譜と注釈が全て掲載されている。著作権法上の「公正利用」原則に基づいて、個人利用に限り楽譜の複製が可能だ。なぜか日本語ページから入るとエラーが出てしまうので英語ページを利用するとよい。

IMSLP / Petrucci Music Library:有名なパブリック・ドメインの楽譜のポータル・サイト。楽譜出版社から圧力を受けて一時閉鎖に追い込まれるものの、著作権問題を回避する手だてを打って復活した。

ChoralWiki:こちらも内容充実の声楽曲楽譜のポータルサイト。

Art Song Central:数は少ないが歌曲の専門サイトで名品揃い。

ロチェスター大学 Sibley Music Library by Author:このサイトでショーソンの歌曲集(全60ページ!)というお宝を発掘した。

バイエルン州立図書館 デジタル・ライブラリー :ヘンデルの膨大な作品集が公開されている。ここでオペラ「リナルド」の有名なアリア「Lascia ch'io pianga」(私を泣かせてください)を含む、オペラ・アリアの楽譜を多数ダウンロードした。ちなみにこの図書館、「バイエルン公アルブレヒト5世が16世紀に建てたヴィッテルスバッハ宮廷図書館が前身」だそうです。すごっ。

以上、楽譜のダウンロードは個人使用に限定されているのでくれぐれもご用心を。
[PR]
by bonnjour | 2008-12-09 22:20 | 息抜き
闘病中の隣人
アパートの階下のKさんと立ち話。Kさんは初老の女性で、このアパートに一人暮らしだが、共用の庭にいつも美しい花を咲かせていて皆を楽しませてくれる。実はKさん、ガンの化学療法のため2週間ほど入院していたという。いつも陽気で親切、元気いっぱいに見えたKさんが闘病中だったとは!しかも乳ガンが他の臓器に転移しており、深刻な状態らしい。言葉を失ってしまった。

「でもね、私今まで幸せな人生を送ってきたと思うの。友達もたくさんいるし、お気に入りのソファーでくつろいだり、外出して騒いだり...。今だって人生を楽しんでいるわ」と、自分に言い聞かせるように語るKさんに「その通り!たくさん笑って楽しいことをして免疫力をアップさせなくちゃ」と答えるのが精一杯。買い物とか掃除とか、手伝えることがあったら何でもいってほしいといって別れたが、切なくなってしまった。

この話を相棒にして、夜など物音を立てないよう気をつけようねと話したら、相棒もすっかりブルーになってしまった。自分たちが暮らしている真下に病気で苦しむ人がいるというのは、本当に心が痛む。

高負担・高福祉のデンマークでは、医療は公的サービスとして原則的に無料なので、費用を気にすることなく安心して闘病生活が送れるのだが(ただし例外的な先進医療を希望する場合は自費になる)、この素晴らしい制度にもひずみが出ているようだ。入院治療の待ち時間が長く、待機中に亡くなってしまう人がいるとか、地元の事情を知らない外国人の救急患者が一般病院に駆けこんだら救急病院でないことを理由に診察を断られて亡くなってしまった事件とか、暗い話もきく。限られた財源を有効に利用して、最大多数に恩恵をもたらす医療を提供するというのは難題だ。
[PR]
by bonnjour | 2008-12-08 10:05 | 暮らす
おっさん2人の二重唱が気になる
オペラは人気歌手の声と技巧を、これでもか、これでもかと聞かせるアリアも良いのだが、二重唱・三重唱等のアンサンブルは、ハーモニーの美しさに加え、歌手同士の競争と協力の微妙な関係も垣間見えて、もっと面白い。

もちろん定番は主役のテノールとソプラノの愛の二重唱だが、それはあまりにも当たり前だし、テノール&ソプラノという花形パートの高い声にはあまり興味を持たない「低音フェチ」の私としては、低音歌手とからませた女性どうし、あるいは男性どうしの二重唱に注目してしまう。

女性同士の重唱は、「フィガロ」の「手紙の二重唱」や、「ノルマ」のアダルジーザとの二重唱、それに「薔薇の騎士」や「ホフマン物語」なんかのズボン役とソプラノのデュエットを含め、有名作品が目白押しなのだが、男性歌手2人の有名なデュエットというと、あまり思い浮かばない。おっさん2人でデュエットしても華がない、ということなのだろうか。

ということで私が好きな、数少ないおっさん2人の二重唱といえば、ヴェルディの「ドン・カルロス」のタイトルロール、カルロス王子(テノール)と親友のロドリーゴ侯爵(バリトン)が歌う「我等の魂に友情と希望を」にとどめをさす。ロベルト・アラーニャ(カルロス)とトーマス・ハンプソン(ロドリーゴ)の組み合わせによるビデオがあったので、下記に貼り付ける。



スペインの王子、カルロスは自分の婚約者だった初恋の人が、政治的理由で父王の後妻となったことに絶望し、悶々とした日々を過ごしている。そこに、当時スペインの支配下にあったフランドルから帰国した親友のロドリーゴが登場し、フランドルをスペインの圧政から解放するため、共に戦おうと説得する。あらためて友情を誓いあう2人であった、というシーンなのだが、ロドリーゴがカルロスに寄せる「友情」には、絶対にそれ以上のものが含まれている。「義理のお母さんに対する恋慕なんて封印して、ボクたちはもっと崇高な目的のために身を捧げようよ」というストイックなところに日本の「衆道」と共通するものを感じてしまうのは私だけか?ともあれ、ロドリーゴは作品の後半でカルロスの身代わりになって暗殺されてしまう(愛のために身を投げ出す?)という自己犠牲の人。だから、これは男どうしの「愛の二重唱」だ。

↑ それにしてもこのビデオ、ロドリーゴ役のハンプソンが、カッコよすぎ。背、高すぎ(アラーニャがチビに見えてしまう)。髪、長すぎ(カツラだけど)。声帯の長さはある程度、身長に比例するとかで、低音歌手は背が高くて舞台映えする人が多いのも、私の低音フェチに拍車をかけている。

この他、気になるおっさん2人のデュエットといえば、ビゼーの「真珠採り」の「聖なる神殿の奥に」がある。これも友情の二重唱なのだが、旋律の美しさは絶品だ。



こちらは1950年の録音。スウェーデンが生んだ伝説的テノール、ユッシ・ビョルリングと、アメリカのバリトン、ロバート・メリルのデュエットだ。ビョルリングは1960年に49歳の若さで亡くなってしまった人だが、透明感のある美声が素晴らしい。
[PR]
by bonnjour | 2008-12-05 22:19 | 聴く&観る
Jazzyなモンテヴェルディ


【録画データ】
2008年9月18日
アンブロネイ・バロック音楽祭(Festival de musique baroque d'Ambronay)
クラウディオ・モンテヴェルディ作「Ohime ch'io cado」(ああ、ぼくは倒れてしまう)
演奏: フィリップ・ジャルスキー(カウンターテナー)
 古楽アンサンブル「L'Arpeggiata」(指揮:クリスティーナ・プルハー)

「バロック音楽祭」で「カウンターテナー」が「古楽アンサンブル」と一緒にやったセッションだが、アレンジはジャズ風だ。これを「偉大な作曲家であるクラウディオ様に失礼だ」と取るか、「古楽もジャズも、即興性というところでつながっているんだから、いいじゃない」と取るか、意見が分かれるところかもしれないが、私は後者だ。実は9月にフランスで聴いた同じ組み合わせのコンサートでも、この曲がアンコールで歌われたが、音楽を作りだす喜びが伝わってくる素晴らしい演奏だった。また、来年の4月25日にはドイツのポツダムで「Alte Musik trifft Jazz: L'Arpeggiata & Friends」(古楽がジャズと出会った:ラルペジャータ&フレンズ)と題したコンサートが開かれ、ジャルスキーがゲスト出演するので、この曲も演奏されることだろう。

彼らが同じ曲をスタジオ録音したディスクが来年1月に「Monteverdi - Teatro d'Amore」(直訳すれば「愛の劇場」?TBSの昼メロの放送枠がそんな名前だったような...)と題してヴァージン・クラシックスからリリースされる。モンテヴェルディの世俗曲を集めたオムニバス盤で、ジャルスキーの他にヌリア・リアル(ソプラノ) 、シリル・オーヴィティ(テナー) 等がゲスト出演している。

ジャルスキー秘蔵の(?)バリトン・ボイスまでまじえて、表情たっぷりに歌われるこの曲は恋に煩悶する男心を扱ったもので、歌詞の内容を知って聞くと一段と面白い。


Claudio Monteverdi
"Ohime ch'io cado"


Ohime ch'io cado, ohime
ch'inciampo ancor il pie
Pur come pria,
E la sfiorita mia
Caduta speme
Pur di novo rigar
Con fresco lagrimar
Hor mi conviene.

Lasso, del vecchio ardor
Conosco l'orme ancor
Dentro nel petto;
Ch'ha rotto il vago aspetto
E i guardi amati
Lo smalto adamantin
Ond'armaro il meschin
Pensier gelati.

Folle, credev'io pur
D'aver schermo sicur
Da un nudo arciero;
E pur io si guerriero
Hor son codardo
Ne vaglio sostener
Il colpo lusinghier
D'un solo sguardo.

O Campion immortal
Sdegno; come si fral
Hor fuggi indietro;
A sott'armi di vetro
Incanto errante
M'hai condotto infedel
Contro spada crudel
D'aspro diamante.

O come sa punir
Tirann'amor l'ardir
D'alma rubella!
Una dolce favella,
Un seren volto
Un vezzoso mirar,
Sogliono rilegar
Un cor disciolto.

Occhi belli, ah se fu
Sempre bella virtu
Giusta pietate!
Deh voi non mi negate
Il guardo e'l viso
Che mi sa la prigion
Per si bella cagion
Il Paradiso.

************************
(試訳)

ああ、ぼくは倒れてしまう。
足はよろめき、
次から次へと涙がわいて出る。
またしても
望みが打ち砕かれたのだから。

ああ、昨日の情熱は
いまだにありありと、
ぼくの心の中にくすぶっている。
きみの美しい顔、愛しい姿が
頑丈な鎧を突き破った。
この鎧でぼくは、
哀れな思いを隠してきたのに。

ぼくは愚か者だった。
自分には、一糸まとわぬ射手から我が身を守る
丈夫な盾があると思っていたのだから。
ぼくは兵士だというのに、怖くてしかたない。
ほんの一瞥で有頂天にさせる
まなざしに抗うことはできない。

おお、永遠の侮蔑、ぼくの擁護者。
まるで自分が急に脆くなったみたいに、
きみは逃げていく。
ガラスの武器、幻の防具でもって、
不実なきみは、ダイヤモンドみたいに硬い剣を
ぼくに突き付ける。

おお、愛の暴君が、
大胆な反逆者を罰することなどできようか。
やさしい言葉、
穏やかな顔つき、
優雅な姿は
疲れた心を癒すものだ。

おお、やさしいまなざし。
美徳が悲しみにすぎないならば、
ぼくを拒まないでおくれ。
きみの姿と微笑み。
それがあるだけで、
牢獄は天国になる。
[PR]
by bonnjour | 2008-12-03 11:41 | 聴く&観る
クリスマス特別バージョン
待降節(アドベント)を迎え、街はクリスマスの飾り付けで華やいでいる。宗教上の習慣であることはもちろん、小雨や曇りの日が多い上に、日の出が朝8時半、日の入りが午後4時前(今週のデータ)という日照時間の少ない季節を乗り切るには、きらびやかな飾り付けで気分をハイにさせるのは理にかなっていると思う。それに商店街にしてみれば、華やかなディスプレイで購買意欲をかきたてて、クリスマス商戦に勝ち残らなければいけないしね。

ということで、生活雑貨にもクリスマス特別バージョンが出たりして、ささやかな購買意欲を刺激してくれる。
c0163963_22553143.jpg


↑ 近所のスーパーで買ったハンドソープ。左の茶色っぽいのが「マロンの香り」(っていったいなんだろう?マロングラッセ風の香りが付けてある)、乳白色のが「ヴァニラの香り」。

近所でクリスマス・マーケットが開かれていることがわかったので、週末にでものぞいてみよう。オープン時間が12時から18時までと早いのと、室内で開かれているのが、昨年までいたドイツのクリスマス市とは勝手が違うところ。この季節の楽しみ、ホットワインの屋台はデンマークにもあるのかな?
c0163963_23234345.jpg

↑ 昨年ドイツのクリスマス市で買ったホットワインのご当地カップ。左がボン、右がケルンので、ボンは数少ない観光ハイライトの旧市庁舎、ケルンは世界遺産の大聖堂やライン河の絵柄が付いているところが泣かせる。ホットワインを買う時にカップの預かり金込みの値段を払い、飲み終わってカップを戻せば預かり金が返金され、戻さなければそのままカップの「お持ち帰り」が可能というシステム。
[PR]
by bonnjour | 2008-12-02 23:25 | 暮らす