B的日常
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ドイツ、デンマーク、フランス(一瞬)と、流浪の生活を約10年。昨年秋にポーランドに流れ着く。音楽、美術、風景、食べ物など、美しいものや変わったものを追いかけて味わうのが好き。
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美しいものや変わったもの、美味しいものを追いかけるのが好きです。日々の生活で接した、そうしたものへの感想を綴っていきます。過去の記事であってもコメントは大歓迎です。メールはこちらにどうぞ。
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黒い食べ物が好き
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↑ 先日遊びにいったロンドンで買ってきた「マーマイト」。ビールの製造過程でできる酵母を原料にした、黒に近いこげ茶色のネバネバしたペーストで、ビタミンBが多い。日本の納豆に匹敵する「奇妙な食べ物」として名高いが、きっと私なら仲良くできると思って買ってきた。そして、その通りになった。塩からくて独特の苦みと風味があるが、バターを塗ったトーストの上に伸ばして食べたら、はまってしまった。先日から私の昼ご飯は連日、マーマイト・トーストである。相棒は納豆、塩辛なんでもござれの雑食性だが、なぜかマーマイトには怖気づいて、食べようとしない。美味しいのになー。

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↑ 北欧やオランダで愛好されている、リコリスと塩化アンモニウムを使った真黒のキャンディ「サルミアッキ」(salmiakki)。しょっぱくてアンモニア臭のする不思議なお菓子だが、薬草くさいリコリス(甘草)の風味と塩味にアンモニアの刺激が重なって、これも慣れると病みつきになる。先日、これを地元の店で買ってロンドンに持って行き、日本から来た友人に「話のタネ」として食べてもらったのだが、なんだかとっても悪いことをしてしまったかもしれない。近所のアイスクリームショップには「サルミアッキ味」のアイスがあるが、これはかなりの冒険なので、まだ試していない。

ほかにも黒系の食品には
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↑ こんなの(キャビア)とか、

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↑ こんなの(トリュフ)とかがあって世間では珍重されているが、これは専門のグルメ・サイトにおまかせしよう。
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by bonnjour | 2009-03-31 09:58 | 暮らす
断食日
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今日は聖金曜日(イースター前の金曜日)。イエス・キリストの受難と死を記念する日で、カトリックではこの日、断食(といっても、肉食を断ち、昼か夜のどちらか一食はごくわずかな量でガマンする、というヤワなもの)をすることになっている。相棒も私もカトリック教徒なので、一応この習慣には従うが、普段は日曜日にも教会に行かず家でゴロゴロしている罰当たりである。

ところで昨日の夕方、近所のスーパーに買い物に出かけたら、大変な混みようだった。今日の金曜日からイースター・マンデーの来週月曜まで休みに入るので、昨日は連休前の買出し客が殺到していたのだ。ドイツの商店は法律で休日の休業を定められているので、買いだめをしておかないと、食べ物も満足に取れなくなってしまう。24時間年中無休のコンビニに慣れた私は、ドイツに来てから強迫観念のように「休日前の食糧買出し」に精をだしている。
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by bonnjour | 2009-03-25 23:46 | 暮らす
ロンドン旅行記 その4: ロンドン滞在の雑景を、とりとめもなく
フィリップ・ジャルスキーのコンサートに引き寄せられて訪れた今回のロンドン。楽しい時間はあっという間に過ぎるもので、水曜日の朝5時にロンドン・スタンステッド空港でチェックインという、格安航空便(Ryanair)ならではのハードなフライト設定で自宅に戻った。不在の間にたまった仕事で今週末は忙殺されそうだが、それすらも楽しくこなせそうなほど、リフレッシュ効果の高い旅だった(それに、ポンド安とはいえ、ロンドンで散財したから頑張って働かねばね)。

今回のロンドン滞在の雑景をとりとめもなく...。

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↑ ナショナル・ギャラリーで、愛するパルミジャニーノ(1503-1540、本名:フランチェスコ・マッツォーラ)の作品に再会。そのほかにもヤン・ファン・エイクの「アルノルフィーニ夫妻」や、ハンス・ホルバインの「大使たち」など、気になる人々に大急ぎで「面会」する。時間がなかったので駆け足で廻ったところ、フェルメールなど、要チェック作品のある部屋を見落としてしまった。次回はじっくり見られるスケジュールを組みたい。ところで、19世紀イギリスの絵描き職人たち(本業は看板描きや装飾業者、あるいは宿屋の主人など)の作品を集めた部屋があり、絵画史に残る巨匠たちの芸術性や迫力、テクニックに比べれば、遠近法を無視してデッサンも崩れまくった破壊的な下手糞ぶりに苦笑しそうになるのだが、これがなかなかいい味を出していて、時間がないにもかかわらず足を止めてじっくりと眺めてしまった。名作・大作は見る者にも緊張とエネルギーを要求するが、こうした名もない画家(実際、作者名が不詳であるものが大半だ)の描いた「ゆるい」作品は、今日本で人気のある「ゆるキャラ」同様、癒し効果があるようだ。

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↑ ヴィクトリア&アルバート博物館(V&A)もじっくり見たいポイントだったが、時間的制約から宝飾品と服飾のコーナーを重点的に見ただけで退出した。次回は余裕をもってスケジュールを組み、1日かけて堪能したい。上の写真はV&Aのトイレの手洗い場。工芸&デザインを専門とする、この博物館らしいアールデコ風な作りなので、思わず写真を撮った。

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↑ 私のロンドンの定宿、ホテル・リッツの客室。というのは冗談で、東京から出張で来ていた友人Mが泊まったリッツの客室を見せてもらった。リッツにしては激安パッケージで1泊200ポンドだったそうだが、それでも私のホテルの2倍以上の料金だ。ベッドルームに備えられた暖炉が、いかにも無駄&贅沢感をかもしだしているし、アラブのお金持ちが好きそうなキンキラキンの室内装飾が楽しい。靴磨きサービスのため、客室ゾーンの廊下に無造作に出された高級紳士靴を見て「あの靴、あんな所に放置しておいて盗まれないかな」と心配になったMと私は、根っからの庶民である(Mは昔、日本の観光地のお寺でお気に入りの靴を盗まれた由)。

↓ 日本人の滞在客には、部屋備え付けのお茶セットに日本茶やお煎餅を添えるという細かい気配りも一流ホテルらしい(アラブのお金持ちには、かの地の人が好むミント・ティーの用意なんかがあるのだろうか)。
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↑ 中華街で発見した、ありえない色と形のデコレーション・ケーキ。このケーキはアレレだが、ロンドンやパリなど中華街のある大都市に住んでいれば、美味しいものが食べられそうだ。

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↑ 日本から来た友人N子と中華街で食べた飲茶。久しぶりの「本物の中華」に、お腹も気持ちも大満足した。

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↑ B級グルメの私だが、たまには葱を背負った観光客として散財するのも楽しかろう、という洒落心(?)で、N子と一緒にローストビーフが売り物の有名レストラン「Simpson's-in-the-Strand」でランチをいただいた。ちょっとお洒落して出かけたこの店で初めに渡されたメニューには、あらかじめ調べておいた、ランチタイムから夜7時までに供される「お得なセット」が載っておらず、改めてセット用メニューを持ってきてもらった。このセットがなければ、割高なこの店を選ぶつもりはなかったのだ。これって、巧妙な騙しの手口?それとも「求めよ、さらば与えられん」(マタイ伝7-7)の実践?名物のローストビーフは肉質といい焼き加減といい美味しかったけど、お客が自分で塩コショウを振って調味しないと適切な味にならないのは、いかにもイギリス風だ(リッツでドーバーソールを食べた友人Mも、同じことを言っていた)。期待のローストビーフより、前菜のサーモン・タルタルの美味しさが印象に残ったのは、それまでの数日間に脂っこい料理を食べ続けたせいかもしれない。サーモンにはちゃんと「味」が付いていた。絶品という噂を聞いて頼んだデザートのTreacle Sponge with Vanilla Custard(糖蜜漬けスポンジのバニラ・カスタード掛け)は、ちょっとアラブ菓子を思わせる、頭痛のしそうな激甘。よく考えたらレストラン・レビューに「絶品」と書いていたのは、イギリス人だった。これは当方の情報リテラシー不足(笑)かも。

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↑ 肩凝りのひどいN子と私は中華街でクイック・マッサージの店を見つけ、飛びこんだ。15分で15ポンド。ロンドンでのマッサージ料金の相場は分からないが、中国人女性のマッサージ師さんは大変に上手で、凝っているポイントをグイグイ押してくれた。生き返った感じ。今住んでいる町にはタイ式のリラクゼーション目的のマッサージしかないので、日本人好みの強く圧迫するマッサージを受けられて有難かった。

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↑ スタンステッド空港に朝5時に集合(出頭?)という非情なフライト・スケジュールのため、前夜は空港近くのホテルに泊まる。ロンドン市内で宿泊したホテルよりずっと割安なのに部屋のサイズは3倍くらいで、バスタブ付きのバスルームも広々としていたのは、ロケーションの差だろう。レトロな感じ(=少々くたびれているところも味わいのひとつ)の宿だった。空港まで一人片道3ポンドで車の送迎がある。

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↑ ロンドンで買ったもの。博物館のショップで少々の記念品を購入したほかは、買い物が食品ばかりなのがちょっと情けない。デンマークでは販売していないMarmite(ビール酵母で作った、かなり個性的な味のペーストで、トースト等に塗る)や、得用サイズのBranston Pickle(イギリス版福神漬?冷製の肉料理やチーズサンドイッチのお伴に最高)など、ご当地食品と、デンマークで買うと高い本場の紅茶やハーブティーを買い込む。デンマークの物価高とポンド安があいまって、何を見ても「安い!」と感じて(ロンドンで物価が安いと感じるなんて、我ながら異常な感覚だ!)大量買いしたくなったのだが、Ryanairの厳しい重量制限(預け荷物が上限の15キロを超えると多額の追加料金が発生する)ゆえ、自制した。

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↑ スタンステッド空港構内にあったイギリスの大手ドラッグストア・チェーン「Boots」でサンドイッチを買ったら、パッケージに「この商品の購入者には、再利用可能なランチバッグを1ポンドで販売」というステッカーが貼ってあったので、フラフラと買ってしまった。日本のOLが会社に行く時に提げていく「お弁当バッグ」みたいだ。用途は...これから考えたい。
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by bonnjour | 2009-03-25 20:08 | 旅する
ロンドン旅行記 その3:フィリップ・ジャルスキーのフランス歌曲コンサート@Southbank Centre
今回のロンドン旅行の主な目的であるフィリップ・ジャルスキーのフランス歌曲コンサート(ピアノ伴奏:ジェローム・デュクロ)を聴くために、テムズ河畔のSouthbank Centreに行く(下の写真はテムズ河にかかるウォータールー橋から眺めたSouthbank Centre)。同行者は、はるばる日本からやってきたN子だ。

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会場であるPurcell Roomは、歌曲や室内楽などの演奏に適切な、こじんまりとして質素なホールだ(座席数372席)。この質実剛健な会場に颯爽と登場したジャルスキーとピアノのデュクロの30代コンビは、しかし、最初の曲の第1節から、私を19世紀末フランスの芸術サロンの世界に誘った。

フランス歌曲の世界に宝石のような名作を残したレイナルド・アーンの作品は、繊細でピュアな現在のジャルスキーの声質に最も合っている。今晩も、彼のテーマソングと化した感のある「A Chloris」(クロリスへ)や、悲しい恋の物語「Trois jours de vendage」(葡萄摘みの3日間)など6曲を、持ち前の美声をたっぷり聴かせて歌い切った。声のコンディションも最高で、メロディーが高音部に達するとホール全体に彼の声が共鳴して、鳥肌が立つような感覚に襲われた。まるで映画「カストラート」でファリネリが発した高音に、観客(貴婦人だけでなく紳士も)が恍惚となって卒倒するシーン(N子談)のようだ。しかし彼の声の魅力は、よく称賛される超高音にとどまらず、ニュアンスに富んだ中音域のピアニッシモの美しさといったら比較できるものがない。超絶技巧を披露するバロック・オペラと違い、言葉を大切にする歌曲を歌う場合には、これがとりわけ武器となるだろう。

プログラムの中では、若さや美の儚さを、咲いたと思ったらしぼんでしまう薔薇の花になぞらえたセシル・シャミナードの「Mignonne」(愛する人よ)も、カウンターテナーという、一時の徒花ともいえる声が歌うことで、一層の説得力をもって伝わってきた。また20代の若さで世を去った早熟の作曲家、ギョーム・ルクーが作詞作曲した「Sur une tombe」(墓前にて)は、あたかも悲劇を歌で演じているかのようだった。シャミナードもルクーも、今日ではほとんど演奏されない作曲家だが、ジャルスキーの声を得て現代に甦った感がある。フランス歌曲であれバロック作品であれ、今では忘れ去られた珠玉の作品を発掘してはコンサートやディスクで積極的に紹介しているジャルスキーの活動に好感を持つ。

【今宵の演目】

Gabriel Dupont: Mandoline
Ernest Chausson: Le colibri, Op.2 No.7
Camille Saint-Saens: Tournoiement (Songe d'opium), Op.26 No.6
Reynaldo Hahn: Offrande
Jules Massenet: Nuit d'espagne for voice & piano
Cecile Chaminade: Automne, Op.35 No.2 (ピアノ独奏)
Reynaldo Hahn: A Chloris
Gabriel Faure: Automne, Op.18 No.3
Ernest Chausson: Papillons, Op.2 No.3
Ernest Chausson: Les heures, Op.27 No.1
Cecile Chaminade: Sombrero

====== Interval ======

Cesar Franck: Nocturne for voice & piano 
Reynaldo Hahn: Trois jours de vendage
Gabriel Faure: En Sourdine, Op.58 No.2
Guillaume Lekeu: Sur une tombe (No.1 of 3 Poemes for voice & piano)
Reynaldo Hahn: Fetes galantes
Cesar Franck: Prelude for piano (ピアノ独奏)
Gabriel Faure: Nell, Op.18 No.1
Ernest Chausson: Le temps des lilas (from Poeme de l'amour et de la mer, Op.19)
Reynaldo Hahn: Quand je fus pris au pavillon (No.8 of 12 Rondels)
Cecile Chaminade: Mignonne
Reynaldo Hahn: L'Heure exquise

上記を見てわかる通り、途中にピアノ独奏をはさんだプログラム構成は、それぞれの曲の緩急や曲想などの点で演奏効果が考え抜かれており、プログラム全体が有機的つながりを持っているのが感じられた。レイナルド・アーンの「L'Heure exquise」(恍惚のとき)で締めくくったのは、昨年の日本でのコンサートと同様である。

アンコールは2曲。19世紀の伝説的オペラ歌手、マリア・マリブランの妹で歌手兼作曲家だったポーリーヌ・ヴィアルドの「ハバネラ」と、本編で歌われたセシル・シャミナードの「ソンブレロ」の裏バージョン。後者では、途中でジャルスキーの地声であるバリトン・ボイスが登場しコミカルな味が加わっている上、最後の一小節を驚異的な音量と長さで朗々と歌って、聴衆を熱狂させた。このシーンを観客のひとりがコッソリ撮影した映像がYouTubeに投稿されていたのでご紹介する(gさん、この動画の情報をありがとうございました):



イギリスの聴衆は日本同様、感情表現が控えめなのではと思っていたのだが、今宵のジャルスキーとピアノのジェローム・デュクロには、やんやの喝采が飛んだ。もちろん、私たちも興奮して「Bravo!」と叫んでいた。

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演奏会終了後にサイン会に応じてくれた、ジャルスキー&デュクロ・コンビ。フランス歌曲に的を絞った今日のプログラム構成は、昨年の日本でのコンサート(バロック曲、シューベルト、フランス歌曲のミックス)にも増してよかったと感想を申し上げたら、わが意を得たとばかり同意してくれた。日本でのコンサートでは諸事情から、様々なスタイルの音楽を入れたプログラムを組まざるを得なかったとのこと。シューベルトを演奏会で取り上げるのは、昨年の日本が最初で最後だろうということだった。

演奏会の後は、かねてからネットでお付き合いのあったドイツ在住のロシア人で音楽教師のJさんに実際にお目にかかることができ、N子と3人でイギリスのビールを飲みながら音楽談義に花が咲いた。彼女はジャルスキーの大ファンで、彼のコンサートのために今回のロンドン以外にもパリやベルリンなど、ヨーロッパ各地に出没している。来月のポツダムでのコンサートにも駆け付けるとのこと(同じドイツ国内だものね)。明るくてエネルギッシュな人だ。音楽がきっかけで各地に住む色々な人と知り合えるのは、本当に楽しい。
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by bonnjour | 2009-03-24 15:31 | 旅する
ロンドン旅行記 その2: ラファエル前派にうっとり
朝、起きてTVをつけると、がん闘病を公表していたタレントのジェイド・グッディが27歳の若さで死去したニュースで持ちきりだ。彼女は「Big Brother」というリアリティ番組に出演し、悪役レスラーのような強烈なキャラクターで有名になった人で、この番組でインド出身の美人女優に人種差別的ないじめを繰り返して物議をかもした。日本のワイドショーならいざしらず、イギリスで(しかもBBCで)一タレントの死去をここまで大々的に報道するのにびっくりしたが、まだ幼い子供の養育費を残すために闘病生活をマスコミに独占取材させたそうで、その経過については人々の関心が高かったのだろう。また彼女は、がんの早期発見の重要性を身をもってキャンペーンしていたそうだ。今日のTV放送の解説によると、イギリスでは子宮がんの検診をためらう女性が多いそうだが、ジェイドのキャンペーンのおかげで検診が浸透すれば助かる命も多くなるはずで、その貢献は大きいだろう。

さて、ロンドン2日目はテーマを「ラファエル前派」に絞り、テート・ブリテン美術館に向かう。地下鉄で美術館の最寄駅であるPimlicoに行こうとしたら、その路線が今週末は運休とのことで、バスで輸送を代替していた。代替バスの本数が多く、無料で運行しているので混乱はなかった。途中のバス停にも「代替バスがここに停まります」という表示が目立つように掲示され、上手にオーガナイズしているのに感心した。

ホテルでゆっくりしすぎたため、美術館付近に到達したのは正午過ぎ。まずは腹ごしらえをと思い、テムズ河畔にあるパブに飛び込みで入る。
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ビールと日替わり料理(海老フライとフライドポテト)を頼み、ゆっくりと昼食。揚げ物には、イギリスでしかお目にかかれない独特の風味を持つモルトビネガー(臭い足の匂いと表現した友人がいる)をかけていただく。
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昼間から1パイント飲んで、ちょっといい気分になり、いざ美術館へ!
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特別展の「ヴァン・ダイクとイギリス」にも心をひかれたものの、本来の目的のラファエル前派に集中するため、常設展のエリアに足を踏み入れる。常設展は時代別に展示されているわけだが、どの部屋(=時代)から見ようかと館内をウロウロしているうちに、いきなり目に飛び込んできたのは
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エドワード・バーン=ジョーンズ作「The Golden Stairs」
277 x 117 cmという大型の絵画なので、実物を見ると大変に迫力がある。さまざまな楽器を抱えた18人の乙女たちが階段を下りてくるシーンはリズミカルで心地よい。

これ幸いとその部屋に入り、ラファエル前派の代表的画家であるダンテ・ガブリエル・ロセッティ、ジョン・エヴァレット・ミレイ、エドワード・バーン=ジョーンズなどの作品にかぶりつく。

こんな作品とか、
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こんな作品とか(このあいだ、東京でお会いしましたね)、
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こんな作品が揃っているのだから、たまらない。
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ラファエル前派を堪能した後はホテルに戻り、今日から合流する友人N子と待ち合わせ。ホテル近くのパブで典型的なパブ料理をいただきながら、積もる話に花が咲いた。

こういう ↓ 高カロリーの食事を昼と夜に食べてしまったわけで、ちょっと反省。でも、普段食べないものは物珍しさもあって美味しく感じるのだ。

フィッシュ&チップスの「小」のほう。日本の基準でいえば「XL」サイズといったところだ。お店自慢の「大」のほうは、いったいどれくらい巨大な魚が出てくるのだろう?外はカリカリ、中はフワフワの衣が美味。カロリーは?怖くて考えたくない。
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「本日のパイ」と野菜の付け合わせ、マッシュポテト。グレイビーが美味しかった。
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by bonnjour | 2009-03-22 11:11 | 旅する
ロンドン旅行記 その1: 未知の世界をちょっと覗いた
週末から翌週前半にかけて、ロンドン大旅行(笑)を決行することになった。まずは地元のマイナー空港から大手低コスト航空会社のRyanairでロンドンのスタンステッド空港に。地元空港からロンドン行きの格安便が出ているのを知ったのはつい最近なのだが、自宅からコペンハーゲンの空港まで移動する列車料金程度でロンドンにまで行けてしまうのは魅力的だ。地元空港行きのバスに乗り込んだら、周囲はコックニーで賑やかに喋りまくるおじさん、お兄さんの集団で、これからロンドンに行くぞという雰囲気が、いやが応でも盛り上がった。このコックニー集団、朝の10時だというのに空港のカフェでビールを注文していたのが頼もしかった。迎え酒というやつ?

徹底的にローコストを追求するRyanairの合理主義に苦笑いしつつ(機内のトイレを有料化する動きが報道されたが、幸いまだ無料で使えた)、飛行機は無事にロンドンに到着。
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入国審査ではEUパスポート所持者用の長蛇の列を横目に、とても空いている「その他のパスポート」の列に。世界各地からの便が到着するヒースローと違って、スタンステッドは欧州内の近距離便の発着が多いのだ。不法就労者の流入を阻止するためイギリスは入国審査が厳しいときいているが、あっさりと審査をパスしてホッとしたというか、ガッカリしたというか。怪しい者だと思われて(いや、実際怪しいんだけど)別室に連れていかれたら、ちょっとした話のタネになったのだが。

空港からバスと地下鉄を乗り継いで、予約していたホテルに。ホテルのwebサイトの写真で見ていたファサードが見つからないので、所在地のストリートを一往復したのだが、番地をよくチェックしたら、外装を改装中でファサード全体にビニールシートが掛けられていた。客室からも外の眺めはビニールシート越しになるわけで、ちょっと残念(下の写真はwebサイトより)。
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ホテルの部屋はダブルルームのシングルユースがプロモーション価格で3泊素泊まりで264ポンド(本日のレートで約3万6600円)。ホテル料金が高いロンドンでは、かなりお得なほうだろう。高速の無線LANが無料で使えるというのはポイントが高い。しかし部屋はかなり狭い。ここに大柄のヨーロッパ人を2人詰め込んだら、さぞかし息がつまるだろう。
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荷物をほどいた後はホテル近くのスーパーWaitroseで菓子パンやらワインやらスナックやらを買い込み、明日からのホテル生活に備える。Waitroseは日本でいえば「大丸ピーコック」クラスの、ちょっと高級寄りのスーパーのようだ。実際、ピーコックではWaitroseブランドの食品をたくさん扱っているしね。物価高のデンマークに比べると、食品や酒類が割安だったので、うれしくなって色々と買い込んでしまった。

夕方になり、学生時代の友人でロンドン在住のT子、そのボーイフレンド、T子と私の共通の友人でやはり学生時代からの付き合いになるMと待ち合わせ。大学の教員であるMは今回、出張でストラスブールとロンドンを訪れており、ちょうど私のロンドン旅行と日程が合うので、集まることになった。T子のボーイフレンド殿の案内で行った先は、イギリス特有の紳士クラブの密集するPall Mallというストリート。そこの某クラブにてシャンペンをご馳走になる。ふだん、地味ーな生活としている私としては、未知の世界をちょっと覗くことができて大変に興味深かった。紳士クラブというのは、口うるさい女性がいない場所で男どうしがくつろいで、ゆっくり新聞を読んだり、議論を戦わせたりする場所なのだろう。周囲には、そんな「邪魔シナイデホシイ」光線を発している殿方が多かった。口うるさい女性の闖入者である私は、あらためてここでお詫びを申し上げたい。

シャンペンを囲んで4人で楽しくおしゃべりしたのはいいけれど、行きがかり上、古くからの友人同士が今さら英語でおしゃべりするのは、ちょっと気恥ずかしいものがある。ちなみにボーイフレンド殿はフランス語が一応の母語であるものの、ドイツ語と英語も自由に操る由。大陸ヨーロッパの多言語国の出身者は、これだからうらやましい。普段は何語で考えているのかと聞いたら、考え事の分野によって思考言語が変わるそうだ。ロンドン在住が長くなったT子も、仕事でヨーロッパ各国や日本を飛び回っている。北のほうの田舎町に隠遁している私にとっては、彼らの話を聞くのは刺激的で面白い。クラブで一杯の後は、翌日早朝に自宅のあるモナコに戻らなければいけないというボーイフレンド殿および友人T子と別れ、Mと私は予約してあったレバノン料理のレストランに行く。

席を案内してくれたウェイターが「当店で一番ロマンチックな席をご用意しました」と言ってくれたが、それは大いなる勘違い!(Mくん、同行者が私なんかでごめんね)。この店ではロマンチック=薄暗い席、と心得ているようで、メニューが読めないほど照明が暗いのには閉口した。壁を背にした狭いベンチシート席で、二人で並んで肘を突き合わせながら食事をするのも窮屈この上ない(いやもちろん、ロマンチックな関係の二人だったら窮屈なんて思わないのだろう)。次回は「商談用」とかなんとかいって、明るくて広い席を用意してもらおう。ともあれ、出てきた料理はとても美味しかった。さまざまな前菜を取り合わせたベジタリアン用コースを頼んだのだが、レモンの酸味やゴマのクリームの風味を生かしつつ、決して味が重くならないヘルシーなレバノン料理は日本人好みだ。デザートも3段重ねのトレイで出てきて目移りしてしまうほど。会計はコース料理+グラスワイン+スパークリング水にサービス料を入れて一人45ポンド。まあ適切な価格だろう。
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食事の話題はMが傍聴してきたストラスブールの欧州人権裁判所の話とか、日本の大学の教員採用の裏話とか。あとは、ストラスブールのおいしいお菓子の話、そのお菓子屋さんでMがクレジットカードを落としてしまい、冷や汗をかいた話、等々。学生時代の友人どうしというのは、気取ったり、取り繕ったりすることなく本音の話ができるので、本当にありがたい。
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by bonnjour | 2009-03-21 09:43 | 旅する
親密さと儚さ ― ジャルスキーのフランス歌曲集「Opium」
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(写真・上:阿片吸引の準備中) ※よいこの皆さんは真似をしないでください。

フィリップ・ジャルスキーの新しいディスク、「Opium-フランス歌曲集」を聴いた。今は存在しないカストラートたちのために書かれたバロックのアリアを、舌を巻くような高音と超絶技巧で歌って喝采を浴びてきたジャルスキーだが、このアルバムでは一転して、19世紀末から20世紀初頭にかけて作られたフランス歌曲(Mélodies Françaises)を、ごく内輪のサロンで演奏しているような親密さで歌っている。そこにはアクロバット的な技巧が入りこむ余地は、まったくない。かわりに「言葉」がいっそうの重みをもつ。

人生や世界についての洞察を時に瞑想的に、時に哲学的に歌う、いわば「地に足の着いた」ドイツ・リートに比べると、フランス歌曲は微妙な心の動きや感情を言葉に託し、音楽という束の間の媒体にのせて空間に放っている感がある。このアルバムに収められた曲もその例にもれず、アルバム全体が、立ち昇ってひと時の陶酔を与えた後に忽然と消えていく阿片(オピウム)の煙のイメージに包まれている。

彼が自分の声に一番合っていると認めているレイナルド・アーンの作品が5曲と一番多いのは当然として、ショーソン、フォーレ、マスネ、サン=サーンスなど、フランス歌曲の隆盛を担った作曲家たちの名作が軒並み並ぶとともに、24歳で夭折したベルギー出身の早熟の天才ギョーム・ルクーや、女性職業作曲家の草分けであるセシル・シャミナード、そして「魔法使いの弟子」で知られるポール・デュカスの、通常はあまり演奏されることのない珠玉の歌曲を取りあげたのは、バロック作品で同じように「埋もれた名作の発掘」をしてきた彼らしい。

カウンターテナーという、ここ50年ほどの間に「再発見」された声が、それ以前に書かれたフランス歌曲を歌うことについては意見が分かれるかもしれない。しかし、このアルバムに関してはジャルスキーのいわばサロン向きな繊細で親密な声と母国語で歌うという強み、そして巧みな選曲があいまって成功していると思う。高音域の美しさはいつも通りだが、中音域ではフランス歌曲に特有の、テノールがかった軽いバリトン(ジェラール・スゼーがその代表例)を思わせる音色が感じられたのも面白い。仏語圏の若手器楽奏者(ヴァイオリンのルノー・カピュソン、チェロのゴーティエ・カピュソン、フルートのエマニュエル・パユ)たちがカウンター・テナー・ボイスにからむ試みも意欲的だ。

さいごに、このディスクのブックレットに載っているジャルスキー自身のメッセージが興味深いので、下記に拙訳をご紹介する。

「Opium」

多くの皆さんにとって、このディスクは「驚き」でしょう。フランス歌曲ファンの方々はいうまでもなく、バロックのレパートリーを歌う私に馴染んできた皆さんからも、必ずや同じ質問が出ることと思います。「なぜカウンターテナーが、このレパートリーを?」と。

正直なところ、カウンターテナーという声種のために書かれた音楽は、過去50年間に作曲されたものを勘定に入れても、あまり幅広いものではありません。私たちカウンターテナーはたいていの場合、カストラートのために書かれた作品を歌っていますが、カストラートの声は実際にはカウンターテナーとはまったく違う音色をもっていました。そうであるならば、通常カウンターテナーとは結び付かないものの、実はその声と相性がよい音楽の世界に冒険をしてみてもいいではないかと考えました。自分に関していえば、洗練と親密さを備えたフランス歌曲の世界には常に共感を覚えてきましたし、歌手としてのキャリアを始めた当初から、恩師であるニコル・ファリアンのもとで、このレパートリーを長い時間をかけて勉強してきました。

このディスク誕生のきっかけを作ってくれたのはルノー・カピュソンです。彼が組織するBel-Airフェスティバルに招かれて、初めてレイナルド・アーン、ガブリエル・フォーレ、エルネスト・ショーソンを歌いました。また、そのときに彼の紹介でジェローム・デュクロと知り合い、たちどころに音楽面で意気投合しました。これに背中を押されて、無数の珠玉作があるにもかかわらず過小評価されがちなフランス歌曲という、豊かで大きな広がりをもったレパートリーをジェロームと一緒に開拓することになったのです。今回のプロジェクトに温かくも貴重なサポートを提供してくれたルノー・カピュソン、その弟のゴーティエ、そしてエマニュエル・パユの諸氏に心から感謝します。

作品を歌うにあたっては、聞き手のイマジネーションの中で言葉が最大限に自然な響きを放つよう、今日、普通の話し言葉で使われている発音に極力近い発音を注意深く選びました。また、わざとらしさや「過度の演出」は避けました。このディスクの録音にあたり、そうしたアプローチを取るようにとの得難いアドバイスをくださったフレデリック・フェイに格別の感謝を捧げます。

フィリップ・ジャルスキー



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by bonnjour | 2009-03-18 09:35 | 聴く&観る
ぬるま湯を加えるだけで作れるパンの素 観察記
スーパーで見てちょっと気になっていた「ぬるま湯を加えるだけで作れるパンの素」を買ってみた。ピザの生地はいつも生イースト(どこのスーパーにも必ず置いてあるのにビックリ)を使って自家製造しているのだが、パンは上手く発酵させるのが難しそうなのでトライしたことがない。そこで今回はインスタント製品で「ずる」をすることに。

パッケージはこんな感じ。Quickboller(クイックなコッペパン)という商品名がすべてを物語る。ちなみにコーンスターチ・メーカーのMAIZENAのブランドが冠されている。パンにあしらわれたデンマークの国旗がちょっと可愛い。
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袋に入った粉をボウルにあけ、ぬるま湯を加えてグルグルグルとかきまぜる。
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25分ほど放置して発酵させると、生地が倍くらいに膨らむ。
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この生地をボール状に丸めてオーブンのトレイに並べる。さらに25分ほど放置。
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これを200度のオーブンで15分焼くと出来上がり。
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味は、昔なつかしいコッペパン風味だ。商品パッケージには、クリームやマジパンを加えた菓子パン風の応用レシピが載っていたけれど、小豆餡やカスタードクリームを入れたら日本風の「アンパン」「クリームパン」が作れるかも。
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なんだか、子供の頃に定期購読していた学研の「科学と学習」という雑誌の付録の実験キットを思い出した(遠い目...)。コストパフォーマンス的には出来合いのパンを買うより少々安いかも。なんといってもキッチンにただようパンの焼ける香りが一番のごちそうだ。
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by bonnjour | 2009-03-13 09:41 | 暮らす
ネット回線を通して嬉しいプレゼント
インターネット回線を通して、友人たちから嬉しいプレゼントが2つ。

まず前回の記事で取りあげたセシル・シャミナード作曲の歌曲「Mignonne」の楽譜を、Rさんからいただく。楽譜を見ながら音楽を聴くと、曲の構成が一層よくわかるのでとてもありがたいし、CDに合わせて自分で歌ってみるのも楽しい。

そして、同じ楽譜をRさんから入手したNさんは、ピアノ伴奏部分を自ら演奏したお手製の「カラオケ」を作り、音声ファイルをRさんと私に送ってくださった。早速使わせてもらったが、歌い手の声がひどいのはひとまず置いて(笑)、とにかく楽しめる!カラオケを入手した昨日から、Rさんにいただいた楽譜を片手に「みにょーん、あろん・ヴぉあしらろーず~♪」と歌いまくっている。

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RさんもNさんも日本在住だが、互いに数百キロ離れた場所に住んでいる。そして海外にいる私を加え、物理的には互いに離れている者どうしがインターネット回線を使って画像や音声のファイルを即時に、しかもほとんど追加コストをかけずにやり取りできるというのは、一昔前なら考えられなかったことだ。距離や時差を超えて、ひとつの曲に関するテキスト、画像、音声のデータが自由に飛び交う様子に、ちょっとしたロマンを感じる。

日本にいたときはそうした技術の提供者側にいた(そして今も、その業界の片隅でニッチなことをやって食いつないでいる)私だが、今の生活では受益者として技術の進歩に大いに助けられているし、それなしでは過ごせないほどになっている。あとは、こうした技術をいかにクリエイティブに活用するか、だろう。
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by bonnjour | 2009-03-12 00:24 | 暮らす
ロンサールの「カッサンドルへのオード」
ルネサンス期フランスの詩人、ピエール・ド・ロンサール(1524-1585)の手になる「カッサンドルへのオード(頌歌)」。朝、咲いたと思ったら夕べには朽ち果ててしまった薔薇になぞらえて、若さや美の儚さをうたったものだ。原詩の朗読はこちらで聞ける(リンク先ページ上部の薔薇の写真の右にある「écouter: Cliquez ici pour écouter le livre audio entier」というリンクをクリック)。

Ode à Cassandre

Mignonne, allons voir si la rose
Qui ce matin avoit desclose
Sa robe de pourpre au Soleil,
A point perdu ceste vesprée
Les plis de sa robe pourprée,
Et son teint au vostre pareil.

Las ! voyez comme en peu d'espace,
Mignonne, elle a dessus la place
Las ! las ses beautez laissé cheoir !
Ô vrayment marastre Nature,
Puis qu'une telle fleur ne dure
Que du matin jusques au soir !

Donc, si vous me croyez, mignonne,
Tandis que vostre âge fleuronne
En sa plus verte nouveauté,
Cueillez, cueillez vostre jeunesse :
Comme à ceste fleur la vieillesse
Fera ternir vostre beauté.

-- Pierre de Ronsard

カッサンドルへのオード

恋人よ、みにゆこう、
けさ、あけぼのの陽をうけて
紅の衣をといた、ばらの花
今宵いま、赤い衣のその襞も
あなたににた色つやも
色おとろえていないかと。

ああ、ごらん恋人よ、
何とはかない、バラの花 
大地にむくろをさらすとは!
おおつれない自然  
この花のいのちさえ、
あしたから、ゆうべとは。

だから恋人よ、
ぼくのことばを信じるならば、
水々し、花の盛りのその齢に
摘め、摘め、あなたの若さを、
この花ににて、じきにくる老年に
あなたの美しさも褪せるのだから。 

出典:平凡社 世界名詩集大成 
オード集 ロンサール(窪田般弥・高田勇訳)



この詩にちなんで、ロンサールの名前を冠した薔薇の品種もある。
↓ これが薔薇の「ピエール・ド・ロンサール」。
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↓ でも、詩人のピエール・ド・ロンサールさんは、こんな顔。
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この詩には複数の作曲家が音楽を付けているが、ここで紹介するのは女流作曲家の先駆けであるセシル・シャミナード(1857-1944)による「Mignonne」。原詩の第3スタンザにある「Cueillez, cueillez vostre jeunesse」(摘め、摘め、あなたの若さを)のあたりの、急きたてられるような感じが割と好きだ。フィリップ・ジャルスキーの新アルバム「オピウム(阿片)~フランス歌曲集」に収録されている。


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by bonnjour | 2009-03-09 13:58 | 読む