B的日常
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ドイツ、デンマーク、フランス(一瞬)と、流浪の生活を約10年。昨年秋にポーランドに流れ着く。音楽、美術、風景、食べ物など、美しいものや変わったものを追いかけて味わうのが好き。
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美しいものや変わったもの、美味しいものを追いかけるのが好きです。日々の生活で接した、そうしたものへの感想を綴っていきます。過去の記事であってもコメントは大歓迎です。メールはこちらにどうぞ。
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気分は地中海
好天の日曜日。昼食に南仏料理のアイオリ(Aïoli)を作り、ゆっくり食事を済ませてから街はずれの海岸に行くことにする。アイオリはにんにくのきいたマヨネーズ状のソースで、茹でた野菜や卵、鱈などに添えて食べる。あまり消化がよくないので夜ではなく昼食に食べるそうだ。

【アイオリの作り方】4人前

材料:にんにく6かけ、卵黄2個、オリーブ油1カップ、塩

1.にんにくをすりつぶし、塩を3つまみ加える。
2.そこに卵黄を加えて混ぜる。
3.上記にオリーブ油を少しずつたらし入れながら攪拌して乳化させる。電動式のハンドミキサーを使うと楽。これでソースは出来上がり。
4.このソースを茹でた野菜(人参、ジャガイモ、インゲン、ビーツ等)、塩鱈、茹で卵などに添えて供する。お伴は南仏産のロゼをよく冷やして。

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海岸は日光浴と海水浴をする人たちで、なかなかの賑わい。といっても人口が少ないので写真に撮るといかにも閑散とした感じになってしまう。北欧とはいっても日差しはかなり強くて、ちょっと海岸を歩いただけですっかり日焼けしてしまった。

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自生しているハマナスが白とピンクの花を咲かせていて、薔薇に似た良い香りがただよっている。

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ハマナスの群生の後ろにヨットの浮かぶ海が見えるのが、なかなかいい感じだ。

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by bonnjour | 2009-05-31 23:06 | 暮らす
脱サラ指揮者
会社員時代の同僚のブロガー、栗坊さんから、勤務していた会社のOBで、今はニューヨーク・シティ・オペラの指揮者になっている山田あつしさんという方が日本で演奏会を開くという情報をもらった。

若手アジア人音楽家に演奏の機会を与えるために設立された「ニューヨーク・アジアン・シンフォニー・オーケストラ(NYASO)」を引き連れての来日公演で、山田さんはその音楽監督を務めているという。

社員数の多い企業だったのでユニークな道に進んだOBも多いが、脱サラして海外のクラシック音楽界で活躍しているのは彼一人ではないだろうか。プロフィールを見ると早稲田のグリークラブ出身で福永陽一郎氏に師事し、卒業後は企業に勤務しながら音楽活動を続けていた。会社員時代は営業マンだったそうだが、激務で知られるセールスをしながら音楽を続けた情熱に頭が下がる。その後、保険会社への転職を経てニューヨークに渡り、シティ・オペラの研究生になったそうだ。2度の転職でいよいよ天職に就いたというところだろう。

演目は下記の通り。料金はS席4500円、A席3500円とお手頃。こちらのサイトに演奏会の詳細とチケット購入の案内がある。プッチーニ・プログラムに心をひかれたが、あいにく帰国の予定がないので聴きにいけない。

New York Asian Symphony Orchestra 来日公演

【6月9日】 プッチーニ生誕150周年記念プログラム
2009年6月09日(火) 19時開演(18時会場) 東京国際フォーラム ホールA

第 I 部
歌劇『トゥーランドット』より ~Turandot~
■ 第1幕
  序曲
  “お聞き下さい、王子様” (リュー)
  “泣くな、リュー”  (カラフ)
■ 第2幕
  第2幕第2場への前奏曲
  “この宮殿の中で” (トゥーランドット)
■ 第3幕
  “誰も寝てはならぬ” (カラフ) 
  “氷のような姫君の心も” (リュー)
  ~フィナーレ~

     トゥーランドット:ローリ・フィリップス(ソプラノ)
     カラフ:エドゥアルド・ヴィラ(テノール)
     リュー:渡部 純子(ソプラノ)

【第 II 部】
歌劇『蝶々夫人』より ~Madama Butterfly~
■ 第1幕
  序曲
  “愛の二重唱” (蝶々さんとピンカートンの二重唱)
■ 第2幕
  “ある晴れた日に” (蝶々さん)
  “あの桜の小枝をゆさぶって” (蝶々さんとスズキの二重唱)
  第2幕第2場への前奏曲
  “名誉を守ることができなければ…”(蝶々さん)
 
     蝶々さん:ローリ・フィリップス(ソプラノ)
     ピンカートン:エドゥアルド・ヴィラ(テノール)


【6月10日】
2009年6月10日(水) 19時開演(18時会場) 東京国際フォーラム ホールA

・ブルッフ: ヴァイオリン協奏曲 第1番 ト短調 op.26
     ペイ・ウェン・リィアオ(ヴァイオリン)

・べートーヴェン: ピアノ協奏曲 第5番 変ホ長調 op.73「皇帝」
     ワルター・ハウツィヒ(ピアノ)

・ドヴォルザーク: 交響曲 第9番 ホ短調 op.95「新世界より」

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by bonnjour | 2009-05-27 19:08 | 暮らす
デンマーク第2の都市
今住んでいるデンマークの地方都市オーフスは、首都コペンハーゲンに次ぐデンマーク第2の都市で、コペンハーゲンがバルト海に浮かぶシェラン島にあるのに対し、ヨーロッパ大陸から突き出ているユトランド半島(この半島の大部分はデンマーク領だが、半島の付け根である南部はドイツに属する)に位置している。もっとも、コペンハーゲン市の人口が52万人、オーフス市が約24万人というのを知ると、私が日本を出るまで住んでいた東京都杉並区の人口(54万人)より少ないので拍子抜けする。

というわけで、オーフスの街を簡単にご紹介。

オーフスは半島の東岸にある港湾都市だ。中心街のすぐ先は、もう港のエリアになる。とはいえ、マルセイユやハンブルクのような巨大な港町と違い、歓楽街もないし、いたってお上品な街である。マルセイユやハンブルクの、港町特有のすれっからした雰囲気は旅情をそそられるので大好きだが、実際に住む分には治安のよいオーフスのほうが安心だ。
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↓ 街の外れの海岸は、夏になると海水浴ができる。暖流が流れているおかげで、高緯度でも泳げるのだとか。

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↓ 街のシンボル、大聖堂(Århus Domkirke)。1500年に現在の姿に建て替えられた。デンマークで一番長い身廊を持つ教会建築だ。

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↓ こちらは聖母教会(Vor Frue Kirke)。大聖堂からさほど遠くない場所にあり、起源は13世紀にさかのぼる。

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↓ オーフス大学は8学部、約3万4,000人の学生を擁する総合大学で、コペンハーゲン大学に次ぐ歴史と規模を持っている。大学の施設は街中に散らばっていて、街全体が巨大なキャンパスともいえる。大学の敷地には湖をたたえた公園まであるので驚く。この大学がなかったら私たちがオーフスに住むこともなかったので、一番親しみを感じる「街の名物」だ。

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by bonnjour | 2009-05-21 19:05 | 暮らす
リラの花が満開
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アパートの庭にあるリラの木が満開の花をつけている。残念ながら私たちの部屋にまでは香りが届かないが、窓から匂い立つような紫色の花を見下ろしているだけで、高貴な香りに満たされる感じがする。

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リラ(英語名:ライラック)はモクセイ科の落葉樹で、春に香りの高い紫色や白色の花をつける。寒冷地でよく育つ木でヨーロッパでは春を告げる花として親しまれているが、日本ではヨーロッパと気候の似ている札幌のライラック並木が有名だ。

リラといえば、エルネスト・ショーソン(1855-1899)の作品に「Le temps des lilas」(リラの花咲く頃)という歌曲がある。友人でもあった詩人モーリス・ブショール(1855-1929)の詩に曲をつけた連作「Poème de l'amour et de la mer」(愛と海の詩)Op.19の第2部「La mort de l'amour」(愛の死)に収められている。「愛の死」というタイトルにふさわしく、「花咲くリラとバラの日はもう来ない。かつての春は輝いていたのに我が愛の花はしおれ、君のくちづけにも目覚めない。花咲くリラとバラの日は我が恋とともに死ぬ」というような喪失の歌だ。



Ernest Chausson "Le Temps De Lilas"
  Philippe Jaroussky, countertenor
  Jérôme Ducros, piano
  Live recording at Théâtre de la Monnaie, Bruxelles
  April 19, 2009

スライドショーの絵画はすべてジェームズ・ホイッスラー(1834-1903)の作品。ショーソンとほぼ同時代人というだけで特に関係はないが、色調や空気感がこの曲にマッチしていなくもない。作品のタイトルはスライドショーの順に下記の通り:

 ◆ Symphonie in White No. 2, The Little White Girl (1864)
 ◆ Nocturne: Blue and Silver - Chelsea (1871)
 ◆ Symphony in White no 1 (The White Girl) (1862)
 ◆ Nocturne in Black and Gold, The Falling Rocket (c. 1874 - 1875)
 ◆ At the Piano (1858-1859)
 ◆ Nocturne in Blue and Gold: Old Battersea Bridge (c. 1872-1875)
 ◆ Nocturne: Blue and Silver - Cremorne Lights (1872)
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by bonnjour | 2009-05-18 09:36 | 聴く&観る
ピアノを弾く男の子
妹には小学3年生になった一人息子がいるが、幼稚園の頃から習っているピアノが大好きで、自発的に毎日練習しているという。教本はソナチネアルバムに入ったそうだ。親にせがんでピアノを習わせてもらったのに練習が大嫌いで、ついぞ上達しなかった私たち姉妹とは大違いである。鬼母(笑)の妹に言わせると熱心に練習する割には上達が遅くて音楽的才能はなさそうというが、このままピアノが一生の趣味になれば心豊かな人生が送れるのではないかと思う。

さて、甥のことは置いておいて、「ピアノを弾く男の子」というのは私の心をそそる。スポーツ万能の男の子とか、理数系にめちゃくちゃ強い男の子が、実はピアノも上手、なんてのは意外性があってよろしい(少女マンガの読みすぎか?)。ピアノのお稽古というのは、どうやらフェミニンな印象が強いようで、小学生の頃は習っていた男の子も、中学に入ったあたりでやめてしまってもっとマッチョな趣味に転向してしまうようだ(もちろん、音大を目指す子供たちはこの限りではない)。だから、中学・高校と、趣味としてのピアノのレッスンを続けて上級者になる男の子たちは希少価値というか、肝が据わっている。

私が最初に就職したのはレコード会社で、音楽活動の経験がある社員が多かった(当時の会長からして、芸大からドイツに留学したバリトン歌手で、後に電機メーカーの経営者に転向した人だった)。今は役員になっている人が、駆け出しの頃は副業のクラブのピアノ弾きで本職の給料より高いギャラを稼いでいた、なんて噂を聞くと見る目が変わったものだ。会社のイベントがあると、部長とか課長と呼ばれる面々がピアノの前に進み出て、プロはだしのジャズ演奏などを始めるのも感心した。こうした会社の場合、ピアノが弾ける男性というのは「想定内」ではあるのだが。

↓ こちらはピアノ演奏が趣味でレコードまで出したドイツの大物政治家、ヘルムート・シュミット。西ドイツ(当時)の首相を1974年~1982年につとめた。05:18-05:28に演奏シーンがちらっと映る。

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by bonnjour | 2009-05-16 21:48 | 暮らす
ケーキの上の糖衣あるいはガトーに載せたサクランボ
デンマークのケーキは日本はおろか、ドイツやフランスで売っているお菓子に比べても激甘で、表面にはよく分厚いアイシング(糖衣)がかかっている。どうやらデンマーク人の味覚は、激甘でないと美味しいと感じないようにセットされているらしい。このアイシング、日本人の味覚にはどうにもしつこすぎるし、美味しいと思えないものを無理に食べて余分なカロリーを摂取するのも馬鹿らしいので、いつも外して食べている。エコロジカルな観点からみれば困った話だ。なら日本風の甘さ控え目レシピで自作すればよいのだが、レパートリーが限られていることもあり、ついつい面倒で既製品を買ってしまう。

「必要ではないが、あったらあったで嬉しい物」のたとえとして、英語では「the icing on the cake」(ケーキの上の糖衣)という表現がある。これがフランス語になると「la cerise sur le gâteau」(ガトーに載せたサクランボ)となる。どちらも文脈によっては「蛇足」に該当する、皮肉な意味でも使われる。激甘の糖衣は私にとってまさに「蛇足」だが、サクランボだったら何個でも大歓迎だ。

↓ ケーキの上の、この白いやつが厄介者。これが載っていないほうがよっぽど美味しいのに。
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by bonnjour | 2009-05-14 20:03 | 息抜き
アン・デア・ヴィーン劇場 & ナンシー歌劇場の共同制作「メサイア」
今年3月から4月にかけて、アン・デア・ヴィーン劇場とフランスのナンシー歌劇場が共同制作でヘンデルの「メサイア」を演出付きでやっていたというのを、今日になって知った(情報遅すぎ?)。演出はクラウス・グート。ジャン=クリストフ・スピノジ指揮のアンサンブル・マテウスの演奏で、ソリストは次の通り。

【ウィーン公演】
Soprano: Susan Gritton
Soprano: Cornelia Horak
Altus: Bejun Mehta
Tenor: Richard Croft
Bass: Florian Boesch

【ナンシー公演】
Soprano: Veronica Cangemi
Soprano: Cornelia Horak
Altus: Max Emanuel Cencic
Tenor: Sébastien Droy
Bass: Nigel Smith

その中から、カウンターテナーのベジュン・メータが歌うアルト・ソロ「He was despised(彼は侮られて)」が、↓ こちら。アン・デア・ヴィーン劇場での公演の録画だ。



見ての通り、舞台を現代社会に読み替えた演出だが、なんというか、宗教曲としてはぶっ飛んでいるところが面白い。オラトリオも演出次第ではこんな風に料理できることが分かった。制作の一端を担ったアン・デア・ヴィーン劇場は、2006年にミュージカル専門館からオペラハウスにリニューアルしてから、格式高い国立歌劇場、庶民的なフォルクスオーパーに次ぐ第3のオペラ劇場として、独特の色を出そうとしているようだ。

指揮のスピノジのインタビューが、ナンシー歌劇場のサイトで配信されている。
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by bonnjour | 2009-05-13 11:38 | 聴く&観る
神秘的な障壁
先日からフランスのバロック音楽が、自分の中でちょっとしたブームになっている。そこで今日はフランソワ・クープランの「クラブサン曲集」第6組曲に収められた「Les Baricades Mistérieuses(神秘的な障壁)」。この作品は、曲そのものの魅力に加えて謎めいた題名が人々の興味をひくせいか、クープランのクラブサン(チェンバロ)作品の中でも最も有名な曲のひとつになっている。

IMSLPのサイトでこの曲の楽譜(パブリックドメイン)が無料ダウンロードできる(pdfファイルのpp. 123~125)。楽譜を見るとよく分かるが、曲全体に執拗に流れる掛留音と(それだけに、自分で弾こうとすると指が思うように動いてくれないのがトホホ)、それを支える低声部の動きが印象的で、それが「クセになる」効果を生み出しているようだ。
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イギリスの音楽学者ウィルフリッド・メラーズによると、この曲はクープラン一流の「音楽の冗談」で、継続的な掛留音がハーモニーを「妨げて」いるので「障壁」という名を付けたのではないか、という(Wilfrid Mellers, François Couperin and the French Classical Tradition, New York, Roy Publishers, 1951, p. 358)。しかし、この題名が本当は何を意味するのか、確かなことは作曲者本人にしか分からない。むしろ、曲名通りミステリアスなままにしておいたほうが余韻があるというものだ。

1989年にエイズのため38歳の若さで亡くなった鍵盤奏者スコット・ロス(Scott Ross、1951 - 1989)の演奏が素晴らしい。



それにしても80年代末~90年代初頭は、スコット・ロスの他にもロバート・メイプルソープ('89年没)、キース・ヘリング('90年没)、フレディ・マーキュリー('91年没)など、才能にあふれた若いアーチストたちが本当にバタバタという感じでエイズに斃れていった。その後、効果的な治療薬が次々と登場し、今ではエイズは死病でなく、早期に治療を開始すれば長期生存が可能な一種の慢性疾患として捉えられるようになったけれど、彼らがもう少し後にこの病に罹患していれば生き延びて、さらに素晴らしい活躍をしただろうにと残念でならない。
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by bonnjour | 2009-05-10 22:55 | 聴く&観る
当世風Air de cour
16世紀から17世紀のフランスで流行した宮廷歌曲、Air de cour(エール・ド・クール)。

視覚化するとしたら、こんな感じ?(ちょっと時代が下るけど)

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↑ Jean-Antoine Watteau (1684-1721)
La Surprise, ca. 1718

エール・ド・クールの代表的な作曲家、ミシェル・ランベール(Michel Lambert:1610 - 1696)作の「Vos mépris chaque jour(あなたのさげすみは毎日)」。歌っているのはルネ・ヤーコプス。微妙な揺らぎのある歌唱が妙にセクシーだ。



さて、こちらは当世風バージョン。ゴダール作品の常連だった女優、アンナ・カリーナに似た風貌の(あるいはタレントの「ベッキー」似の)この女性は、同じく「Vos mépris chaque jour」を歌いながら手紙を書いていたかと思えば、タロットを取り出して占いを始める。



フランスのヴェルサイユ・バロック音楽センターのWebサイトでは、1602年から1660年頃までのエール・ド・クールのオンライン・カタログが公開されており、書誌情報や歌詞のほか、作品によってはPDF化された楽譜も閲覧できる。これはスゴイ。
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by bonnjour | 2009-05-07 11:23 | 聴く&観る
奥様お手をどうぞ
風薫る5月。その風に乗って新型インフルエンザが音もなく忍び寄ってくるのは気がかりだが、ともかく爽やかな空気とあふれるばかりの陽光に気持ちが晴れやかになる季節だ。

c0163963_1222226.jpgこんな季節には軽やかな流行歌がぴったり、ということで本日聴くのは今から90年ほど前にドイツで作曲され、マレーネ・ディートリヒ主演の映画(写真)の主題歌にもなり大流行したタンゴの名曲「Ich küsse Ihre Hand, Madame」(邦題:奥様お手をどうぞ)。邦題は慎ましやかだが、原題は「奥様、貴女の手に接吻します」というわけで、人妻に恋い焦がれる青年の切ない心を歌ったもの。

ヨッヘン・コヴァルスキが歌ったバージョンがNMLで聴ける。成熟した大人の女性を思わせるカウンターテナー・ボイスが人妻に恋する青年の気持ちを歌うところに、ちょっとした倒錯を感じる(そこが好き)。

Ich küsse Ihre Hand, Madame

作詞:Fritz Rotter
作曲:Ralph Erwin

Madame ich lieb Sie
seit vielen wochen
wir haben manchmal
auch davon gesprochen
was nützt das alles
mein pech dabei ist
das ach ihr herzchen
leider nicht mehr frei ist
ihr blick gebietet
mir sei still
doch träumen darf
ich was ich will

ich küsse ihre hand madame
und träum es wär' ihr mund
ich bin ja so galant madame
doch das hat seinen grund
hab ich erst ihr vertrauen madame
und ihre sympathie
wenn sie erst auf mich baut madame
ja dann sie werden schauen madame
küss ich statt ihrer hand madame
nur ihren roten mund

es ist ja möglich
wenns wieder mai wird
das dann ihr herzchen
endlich wieder frei wird
es gibt noch eine lösung
um mich zu heilen
wenn sie ihr herzchen
ausnahmsweise teilen
wenn erst mein mund
den ihren fand
sag ich nichtmehr
formell galant

やさしいその手に 触れもすれば
心はおののき 夢さながら
甘い口づけを 許したまえ
燃える恋の火に この身を灼くとき
切なる願いを 聞きたまえよ

かたときも忘れえぬ なよかなきみの姿
望みなきはかなさに 嘆きはひとしお深き
命を捧げて 悔いなきわが恋


↓ こちらはドイツの偉大なリリック・テノール、フリッツ・ヴンダーリヒが歌ったバージョン。甘い声、端正な歌いぶりに、マダムでなくても心を動かされてしまうのであった。



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by bonnjour | 2009-05-05 00:33 | 聴く&観る