ヨーロッパの地方都市を転々とした挙げ句、ポーランドに流れ着いた管理人「B」の日常。音楽、美術、風景、食べ物など、美しいものや変わったものを追いかけて味わうのが好き。
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美しいものや変わったもの、美味しいものを追いかけるのが好きです。日々の生活で接した、そうしたものへの感想を綴っていきます。過去の記事であってもコメントは大歓迎です。メールはこちらにどうぞ。
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甘い炎~忘れ去られたカストラート・アリア集
2009年 08月 29日
カウンターテナーのフィリップ・ジャルスキーがこの秋、「La dolce Fiamma - Forgotten Castrato Arias(甘い炎~忘れ去られたカストラート・アリア集)」と題した新譜をリリースする。ヨハン・セバスチャン・バッハの末息子で「ロンドンのバッハ」の別名を持つヨハン・クリスチャン・バッハ(1735 – 1782)の、今では演奏されることのなくなってしまった作品に光を当てたオペラ・アリア集だ。 18世紀の伝説的カストラートに捧げた「カレスティーニ~あるカストラートの物語」(2007年11月リリース)に続く、ジャルスキーによる知られざるカストラート・レパートリーのアルバム第2弾といったところだが、今回組んだのはジェレミー・ロレール指揮のル・セルクル・ドゥラルモニー。ロレールは1973年パリ生まれの若手指揮者で、この30代コンビがバロックから古典派の過渡期に作曲された知られざる名曲をどう料理しているのか、今から楽しみだ。 【収録予定曲】 J.C.バッハ: ・歌劇『スキピオの慈悲』より アリア「Pugna il guerrie」 ・歌劇『カラッターコ』よりレチタティーヴォ「Perfida Cartismandua」とアリア「Tra l'orro」 ・歌劇『シリアのアドリアーノ』よりアリア「Cara la dolce fiamma」 ・歌劇『テミストクレス』よりアリア「Ch'io parta?」 グルック: ・歌劇『オルフェオ』よりアリア「La legge accetto」(J.C.バッハがグルックに曲を献呈) ・歌劇『アルタセルセ』よりレチタティーヴォ、他(曲順未定) ヨハン・クリスチャン・バッハ(上の肖像)は大バッハが50歳のときにドイツのライプツィヒで生まれ、14歳で父バッハを亡くしたあと、親子ほど年の離れた異母兄のカール・フィリップ・エマヌエル・バッハに引き取られ音楽教育を継続するが、その後オペラを志してイタリアに留学し、最終的にはロンドンに定住して名声を得たコスモポリタンな作曲家だ。バッハ一族で唯一、オペラを手掛けたことや、バッハ家が深く信仰していたルター派からカトリックに改宗してしまったところなど、一族の異端児といえるかもしれない。ロンドンでは少年時代のモーツアルトと親交があり、この天才少年に影響を与えている。 今回のディスクではヨハン・クリスチャンが作曲したオペラから、カストラートのために書かれたアリアが集められている。その多くは世界新録音だという。また、併せて収録されたグルック(1714 – 1787)の「アルタセルセ」は、有名な「オルフェオとエウリディーチェ」(初版であるカストラートを起用した「ウィーン版」の初演が1762年)に20年ほど先立つ1741年に初演された彼のオペラ・デビュー作だ。 この時代の音楽に光を当てた理由については、ジャルスキーが昨年の8月にラジオ・プラハのインタビューで次のように語っており、今回のディスクの件にも触れている。 (中略)... それとは別に、バロック音楽とモーツアルトに挟まれて忘れ去られた感のある時代の音楽にも光を当てていきたいと思います。この時代には、トラエッタ(Traetta)、ヨメッリ(Jomelli)、ヨハン・クリスチャン・バッハ(Johann Christian Bach)といった、ギャラント・スタイルの優れたオペラ・セリア作曲家が沢山いました。ヨハン・クリスチャン・バッハの手によるオペラ・セリアのディスクを作る計画があります。彼はメタスタジオ(Metastasio)が書いた台本に基づいて、様々なオペラ(アルタセルセ、インドのアレクサンダー大王、ウティカのカトーネ、等)を作曲しています。 また、ドイツのクラシック音楽情報サイトKlassik Newsにディスクの紹介記事が載っていたのでご紹介する(拙訳)。 ジャルスキーによるヨハン・クリスチャン・バッハ嬉しいことにヨーロッパでのリリース(11月13日)に先行し、日本では「来日記念盤」として10月21日に発売が予定されている。国内盤発売の詳細はこちらを参照。
by bonnjour
| 2009-08-29 05:02
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