ヨーロッパの地方都市を転々とした挙げ句、ポーランドに流れ着いた管理人「B」の日常。音楽、美術、風景、食べ物など、美しいものや変わったものを追いかけて味わうのが好き。
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美しいものや変わったもの、美味しいものを追いかけるのが好きです。日々の生活で接した、そうしたものへの感想を綴っていきます。過去の記事であってもコメントは大歓迎です。メールはこちらにどうぞ。
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ウィーン旅日記 - 初日は「男の裸」展を見に行く
2013年 02月 20日
どうやら約10年おきにウィーンに行きたくなるようで、今年がその周期。というか、アン・デア・ウィーン劇場でニコラ・ポルポラ作「ポリフェーモ」の演奏会形式上演があり、そこにフランコ・ファジョーリとシャビエ・サバタという、今とても勢いのあるカウンターテナーたちが出るというので、それに引っ張られて旅行を決めた。行くことを決めてしまえば、コンサート以外にも見たいもの、行きたい場所が沢山あって目移りしてしまうのが、かつての大帝国の首都ウィーンの偉大なところだ。
水曜日の昼すぎに現地に到着して金曜の夜にコンサート、そして土曜日の午後に現地を発つ3泊4日の旅。到着して早々に、まずはこちらの話題の展覧会に駆けつけた。 レオポルド美術館で昨年10月からロングラン中の「裸の男たち 1800年から現在まで」展。美術の歴史の中では女性の裸体像の影に隠れていまひとつ光が当たることが少ない男性の裸体をテーマにした、意欲的な企画だ。街中に貼られたポスター(下の写真)の無修正の股間に市民からクレームが入って、その部分を隠すことにした(でも剥がされちゃうのだからあまり意味がない)というエピソードや、ヌーディスト向けに全裸で作品を鑑賞できる特別企画(閉館後の一般入場者がいない時間帯である)を設けたりというニュースが先走って、キワモノ的に思われるかもしれないが、「なぜ男性ヌードはマイナーな存在として扱われてきたのか」という問題意識に取り組んだ、大変に真面目な展覧会である。この企画のヒットのおかげで来場者が前年比で大幅アップしているそうで、喜ばしい限りだ。 ↑ 市民からクレームが入ったという展覧会ポスター。クレームに対応して急遽、股間を隠したのに、誰かのイタズラで元の木阿弥に。この肉体美を披露する3人のサッカー選手のヌードはフランスの写真家2人組、「ピエールとジル」の作品だ。ゲイ・テイストの濃い、人工的に作りこんだ彼らの作品は以前から好きなので、無修正のやつを展覧会でじっくりと鑑賞させてもらった。 他に面白かったのは、女性の美術家による男性ヌードを集めたコーナー。男の裸を見る視点が違うのだ。とはいえ、ここに登場する女性美術家は20世紀以降の人々で、それ以前の時代には女性は美術学校に入学が許されなかったという(理由は男性ヌードのデッサンがカリキュラムに入っているから)。そんな男性中心の世界では、女性ヌードを美の理想として盛んに画題に取り上げ、男の裸は脇に追いやられたのも、無理はないだろう。 折しも日本では、島根県で地元出身の篤志家が町に寄付したミケランジェロのダビデ像レプリカが、局部丸出しなので市民を当惑させている、パンツを履かせろという声まで上がっている、というニュースが流れていた。ヨーロッパで公共のスペースに股間丸出しの写真はまずくても、ダビデ像のような彫刻のリアルな股間というのは芸術として受け入れられている。男性裸体に対する、文化圏による反応の違いというのはまことに面白い。 余談ながら、日本の美術界における男性の裸体と股間表現の歴史と葛藤については、木下 直之・著、「股間若衆: 男の裸は芸術か」という痛快な本(下の写真)がある。
by bonnjour
| 2013-02-20 07:47
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