ヨーロッパの地方都市を転々とした挙げ句、ポーランドに流れ着いた管理人「B」の日常。音楽、美術、風景、食べ物など、美しいものや変わったものを追いかけて味わうのが好き。
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美しいものや変わったもの、美味しいものを追いかけるのが好きです。日々の生活で接した、そうしたものへの感想を綴っていきます。過去の記事であってもコメントは大歓迎です。メールはこちらにどうぞ。
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そこはかとなく危険な香りの「悲しみの聖母」
2008年 08月 01日
あいかわらず、うだるような夏の日が続く。
今いるアパートには共同で使う小さな庭が付いていて、ガーデン用のテーブルとイスも用意されているのだがパラソルがない。それで、さすがにこの炎天下で長居をする人はいないようだ。 あまりの暑さに仕事をする気力も失せ、作業中のPCでiTunesを起動し音楽を聴く。「ながら聴き」はできない性質で、音楽をかけると仕事が中断してしまうのだが、夕方になって涼しくなってから再開すればいいやと勝手に納得して音楽にひたる。 今日選んだのは、20代で早死にしたペルゴレーシ(1710-1736)が死の直前に書いたStabat Mater(悲しみの聖母)。1983年にハルモニア・ムンディからリリースされた、ルネ・ヤーコプス(カウンターテナー)とセバスチャン・ヘニッヒ(ボーイソプラノ)のコンビによるディスクで、名盤といわれているもの。 この作品は「ソプラノとメゾソプラノ(女+女)」「ソプラノとカウンターテナー(女+男)」「ソプラニストとカウンターテナー(男+男)」「ボーイソプラノとカウンターテナー(少年+男)」というふうに、いろんな組み合わせの録音が出ているけど、最後の組み合わせ、つまり今日聴いたようなボーイソプラノとカウンターテナーのコンビは、音楽的には夢のように美しいものの、ジェンダーの既成概念をぶち壊すような、かなり危険な香りがする。女のような声を出す成人男性と、いまだ男性とも女性ともつかぬ未分化の中性的な声を出す少年が、ある時はソロを歌い、ある時はデュエットでからみあって紡ぎだす音楽。しかも歌われているのは十字架にかけられた御子イエスの死を悼む聖母マリアの悲しみ。ゾクゾクして、おかげで暑気払いができた。 こちらも好きな1枚。同じ曲を、やはりカウンターテナーとボーイソプラノが歌ったもので、このバージョンでは男声アルトのヨッヘン・コヴァルスキーとテルツ少年合唱団のソリストDennis Naseband君が起用されている。こちらは上記の10年ほど後、1992年の録音。初めて聴いたのはリリースされてすぐだと思うが、その時なぜか「あずさ2号」の「狩人」を思い出した。なんでだろう。
by bonnjour
| 2008-08-01 03:39
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